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Alison Frankel

[ニューヨーク 16日 ロイター] - トランプ米大統領が2009年に開設した自身のツイッターアカウント(@realDonaldTrump)のフォロワー数は現在4000万人を超えており、米大統領選の期間中だけでなく、当選後にも絶大な効果を発揮している。

トランプ大統領は、トランスジェンダーの米軍入隊禁止など、政府の方針をしばしばツイッター上で発表している。自身の政策課題を推進するため、@realDonaldTrumpアカウントをよく使っている。

つぶやくことで法案成立を促し、忠実な支持者を増やそうとするだけでなく、ジョン・マケイン氏やミッチ・マコネル氏、ボブ・コーカー氏ら共和党の重鎮や、国歌斉唱時にひざを立てたプロフットボール選手、そしてニュースメディアなど、大統領が不誠実だと考える対象を攻撃したりするのにツイッターを利用している。

大統領のツイートを読まずにトランプ政権を理解しようとすることは、通りの名前が記載されていない地図を読もうとするに等しい。自分がどこにいるのか把握することはできても、理解するのは一段と困難になる。

昨年6月、ツイッターユーザー7人と言論の自由を擁護する米コロンビア大学の「ナイト・ファースト・アメンドメント・インスティチュート」は、大統領のアカウントへのアクセスをブロックすることは、言論の自由を保障する合衆国憲法の修正第1条に違反しているとして、大統領とホワイトハウス当局者数人を提訴した。

原告側の主張は、簡単に言えば、トランプ大統領のツイッターアカウントは、大統領が自身への批判者を排除してはならない公開討論の場である、というものだ。トランプ氏のアカウントは、オバマ前政権が立ち上げた米国大統領の公式アカウント「@POTUS」より2000万人以上もフォロワー数が多い。

この裁判で大統領とその側近の代理である司法省は13日、略式判決を求める申し立てを行った。

<プライベートな発言>

その弁論趣意書の第1の主張は、トランプ大統領のツイッターアカウントが公開討論の場ではない、ということだ。それは私企業のルールに支配されるプライベートなプラットフォームである、と司法省は主張する。大統領がアカウントを開設したのは選挙で公人に選ばれる以前であり、同アカウントの継続運用は、大統領に選出されたことで得られた権利ではない、としている。

「大統領は個人のツイッターアカウントを連邦法に基づいて運用していない。また、大統領の権限は憲法第2条に規定されているため、アカウントへのアクセスをブロックすることも不可能である」と弁論趣意書には記されている。

したがって、司法省によれば、@realdonaldtrumpアカウントにおけるトランプ大統領の投稿は、憲法修正第1条に違反する「国家行為」では全くない。結婚式での乾杯の音頭や資金集めパーティーでのスピーチのように、そのような投稿はプライベートな発言だと、司法省は主張するのだ。プライベートなものだとされるそうした発言が、大統領の政策に関するものであっても、だ。

「確かに、大統領のアカウントは大統領のオフィスと同一であり、ツイートは公式声明である」と、司法省の弁論趣意書は認めたうえで、「だが、大統領が自身のツイッターアカウントを通じて『国家行為』を発表するかもしれないという事実が、必ずしも同アカウントに関連する全ての行為が国家に起因することを意味するわけではない」と主張している。

言い換えれば、トランプ大統領は@realDonaldTrumpアカウントを使ってツイートを投稿しても、大統領の権力を振りかざしてはいない、と司法省は言っているのだ。と同時に、トランプ氏は大統領として行動しているため、自身のプライベートアカウントへの投稿を巡り訴えられることはないと主張している。

原告側は、求めている裁判所命令を得られないことから、訴訟を起こす立場にない、と司法省は主張する。米連邦最高裁判所における三権分立を巡る判例において(最近では1992年のフランクリン商務長官対マサチューセッツ州の裁判がある)、判断を下すために大統領権限に裁判所は干渉できないとしている。
>>2以降に続きあり)

2017年10月18日 / 01:00 / 8時間前更新