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[函館市(北海道) 18日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は18日、北海道函館市内で会見し、現在の日本経済は需給のバランスのとれた成長を続けているとし、2%の物価安定目標の実現を早めるための追加緩和は「過剰」と語った。また、日経平均株価が年初来高値を更新し続けているが、日銀によるETF(上場投資信託)買い入れの見直しは時期尚早との見解を示した。

桜井委員は、現在の日本経済について「全体でみれば総需要と総供給ではやや需要が強い。全体としてみれば、よくバランスがとれている」と評価した。供給力の拡大は短期的には物価上昇の抑制要因となるものの、いずれ労働供給増や企業のビジネスモデルの見直しの限界がくるとともに、供給拡大を通じて成長力が高まり、賃金・物価の上昇圧力も強まっていくとの認識を示した。

需給ギャップのプラス幅が拡大し、6四半期連続のプラス成長も実現している中で、金融政策運営は「現行の枠組みを続ければ、金融緩和の効果がどんどん強まっていく」とし、「現在の金融緩和を続け、粘り強く効果を待つことでいい」と強調。

一部の政策委員から総需要を刺激するために追加緩和が必要との主張も出ているが、桜井委員は「物価目標達成を早めるために、新たな政策をとれば無理をすることになりかねない。過剰なことをやる必要はない」と否定的な考えを示した。

労働供給増などの限界や成長力の高まりが物価上昇に波及するタイミングについては「時期をはっきりと予測するのは難しい」としながら、例として高齢化の進行などを挙げ、「時期がだんだんと短くなってきているとの感じを持っている」と語った。

18日の東京株式市場は12日続伸となり、取引時間中の年初来高値を連日で更新した。日銀では、資産価格のリスクプレミアムに働きかけることを狙いに年間6兆円程度のETF買い入れを続けているが、市場の一部からは価格形成を歪めているなどの指摘がある。

桜井委員はETF買い入れについて「(東証一部の)時価総額に占める日銀の保有割合は3%程度であり、全体として、それほど大きいとは考えていない」と主張。個別銘柄では「(保有割合が)大きいものもある」としたが、減額などETF買い入れの見直しを「考えるのはまだ早い」と語った。

伊藤純夫

2017年10月18日 / 09:21 / 9時間前更新