「ワンルームの室内でそんなに遺体があったなんて恐ろしい」。神奈川県座間市のアパートの一室から2人の遺体が見つかり、この部屋に住む白石隆浩容疑者(27)が死体遺棄容疑で逮捕された事件。31日に新たに7人の遺体が見つかり、周辺住民に衝撃が走った。白石容疑者の逮捕につなげたのは、不審情報を基にした捜査員の追尾だった。

 ツイッターで被害者と接触を図っていた可能性がある白石容疑者。事件が発覚した当日の30日にも、ツイッターを通じて別の女性と会おうとしていた。

 警視庁捜査1課によると、24日から行方不明になっている東京都八王子市の女性(23)の兄が、ツイッターなどで情報提供を呼びかけたところ、別の女性が「相手の男に心当たりがある」と兄に名乗り出た。ツイッターで自殺を持ちかける手口などが男と酷似していたからだという。

 兄から「こんな情報提供をしてくれた女性がいる」と相談を受けた高尾署の捜査員は30日、この女性の協力を得て男をおびき寄せることにした。男は待ち合わせ場所に現れた。その人物が同容疑者だった。

捜査員が追尾を続けると座間市内のアパートに行き着いた。捜査員は同日午後4時半ごろに任意の事情聴取を求めた。同容疑者のアパートの室内を捜索すると、遺体が見つかったという。ロフト付きのワンルームには、クーラーボックスや工具用の箱が八つあり、そのうち七つには人の頭部やバラバラにされた遺体の一部が入れられていた。【安藤いく子】

 ◇白石容疑者、風俗店に女性紹介

 白石容疑者は座間市の一戸建て住宅で幼少期を過ごし、当時はおとなしい性格で目立たない存在だったという。最近は、風俗店などに女性を派遣する会社に勤めていた。

 実家近くの住民らによると、白石容疑者は両親と妹と4人家族。数年前に母親と妹が別居し、実家には父親が1人で暮らしていた。近所の男性(83)は「父親は自動車関連の自営業で(容疑者が)時々戻って手伝いをしており、2カ月ほど前にも帰ってきていた。きちんとあいさつするいい子だったのに」と驚く。

 白石容疑者は一時、東京・歌舞伎町にある職業紹介会社で、風俗店などに女性を派遣する業務を担当していた。今年2月には職業安定法違反の疑いで茨城県警に逮捕され、執行猶予付きの有罪判決が確定している。

 実家近くでは8月以降も容疑者の姿が目撃されていた。30代の男性は、深夜に実家の玄関前に座り込む姿を何度か見かけた。「携帯電話をいじっていて、あやしい感じがした」と振り返った。【長真一、五十嵐朋子】

 ◇多数の犠牲、過去にも

 今回の事件では、アパートの一室から計9人の遺体が見つかった。多くの遺体が見つかった事件は、過去にも各地で起きている。

 群馬県では1971年、10〜20代の若い女性が相次いで殺害され、山中や畑などに遺棄された。ベレー帽姿で被害者らに声をかけ、殺害したとして大久保清元死刑囚が逮捕。死刑が確定し、76年に執行された。

 72年には群馬県内の連合赤軍の山岳アジトで12人の遺体が見つかった。その後、「総括」と称して仲間内のリンチ殺人が行われていたことが発覚。永田洋子、坂口弘の両元最高幹部に死刑が確定した(永田元死刑囚は2011年に病死)。

 東京都と埼玉県で88〜89年、幼女4人が相次いで行方不明になり、宮崎勤元死刑囚(2008年執行)が逮捕され、遺体も相次いで発見された。92〜93年には大阪府の愛犬家ら5人が相次いで殺害され、長野県で遺棄された。犬の訓練士を自称する上田宜範死刑囚(63)が逮捕された。

 神奈川県平塚市のアパート一室では06年、5人の遺体が見つかった。県警はうち娘1人の殺害容疑で母親を逮捕(懲役12年が確定)した。乳幼児3人の遺体の死亡経緯は判明しなかった。

 兵庫県尼崎市では11〜12年、貸倉庫のドラム缶から女性の遺体が見つかったことをきっかけに、民家床下から3人の遺体が見つかるなど計8人の死亡が確認された。首謀者とみられた角田美代子元被告は12年に留置場で自殺した。【伊藤直孝】

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