NHK11月21日 19時51分教育
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171121/k10011230951000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_005

世界の15歳の子どもを対象に行われた国際学力調査で、日本の子どもは「協同して問題解決する力」が参加した52の国と地域の中で2位となりました。

この国際学力調査は「PISA」と呼ばれ、OECD=経済協力開発機構が実施し、日本の高校1年生、およそ6600人を含む52の国と地域の15歳の子どもが参加しました。

今回は、これからの社会を生きるうえで必要な「協同で問題解決する力」が測定され、その結果が公表されました。それによりますと、日本の子どもは平均点より52点高い552点で、シンガポールに次いで2位となりました。

調査には通常のペーパーテストと違い、パソコンが使われ、“チャット”と呼ばれるインターネット上の会話形式で進められます。

ある問題では、チームでクイズに挑む中、どんな方法を取ればほかより早く問題がとけるかを競います。この中で1人の仲間がチームとしての戦略を立てる前に「早くやればいい」と繰り返し主張するとき、どんな発言をすべきか問われました。「勝てばいい」とか、「ベストを尽くそう」といった抽象的な答えに対して、正解は「みんなで問題を分担したらどうか」という具体的な提案でした。

この問題の日本の平均正答率は75.4%で、OECDの平均を23.7ポイント上回りました。

また、調査の中で、他人と共同作業することについて尋ねたところ、「チームのほうが1人よりいい決定をすると思う」と答えた日本の子どもは80.2%で、OECDの平均より8.2ポイント高くなりました。

今回の結果について、教育社会学が専門でお茶の水女子大学の浜野隆教授は「日本は和を重んじる傾向があり、学校でも集団で行う活動が多く盛り込まれている。日本の子どもは1人で課題に取り組むよりも集団のほうがより力を発揮できるということではないか。一方で、グローバル化が進む中、異なる文化的背景を持った人たちと意見をぶつけながら課題を解決する力も必要だ」と話しています。

PISAとは

PISAはOECD=経済協力開発機構が3年に一度実施している国際学力調査です。読解力、科学的リテラシー、数学的リテラシーの3つの調査が行われていて、通常の学力テストと違い、実生活に役立つ学力を測定しているとされています。

この調査で、日本の子どもは世界トップレベルの成績を挙げていましたが、2003年の調査で成績が大幅に下がったことから、いわゆるゆとり教育が原因とされ、教育政策が大きく見直される転機となりました。