写真撮影をスマートフォンで済ませるユーザーの増加で、市場縮小に直面するデジタルカメラ。日本メーカーのデジカメ出荷額が平成28年11月から11カ月連続して前年比プラスで推移し、底打ち感が強まってきた。各社はスマホでは難しい高画質を実現するミラーレスカメラの高級機種を相次いで投入し、巻き返しを図っている。(柳原一哉)

 業界団体のカメラ映像機器工業会によると、出荷額は28年1〜10月はほぼ前年同月比割れ。特に熊本地震が起きた昨年4月以降は部品供給が滞り、大きく落ち込んだ。画像センサーの生産を手がけるソニーの基幹工場が被災し全面復旧に半年近くかかった。

 その反動もあって28年11月から29年9月まで前年比プラスが続いており、「ようやく底打ち感が出てきた」(業界関係者)。キヤノンは量産態勢を拡張するため宮崎県に新工場を建設し、31年の稼働を目指す。

 もっともコンパクトデジカメに取って代わったスマホがカメラ市場を侵食する事態は変わらない。そこで、メーカー各社はスマホにはない高付加価値カメラに活路を見いだす。

 今月16日にはパナソニックがミラーレス一眼デジカメ「LUMIX(ルミックス)G9PRO(プロ)」を発表。オートフォーカス(AF)速度が世界最速の約0・04秒という性能をアピール。

 一方、ソニーのカメラ担当幹部も「台数よりも金額を追う」と強調し、最高20コマ毎秒の高速連写機能を持つミラーレス一眼「α9」の売り込みに余念がない。富士フイルムは大型画像センサー搭載の中判ミラーレスを投入し「10万円以上の高級ミラーレスの世界シェアを約5割に引き上げる」と意気込む。

 ただ、会員制交流サイト(SNS)の利用者は、スマホで撮影した写真を投稿するケースが多い。キヤノンは自社のデジカメで撮った写真をスマホに転送できる連携機能を強化し、顧客のつなぎとめを狙う。

配信11/25(土) 8:33
産経新聞
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