【鳥羽】三重県鳥羽市菅島町の市名義の山林は町内会に所有する権利があるとして、菅島町内会が市に土地の名義返還を求める訴えを津地裁に起こした。第1回口頭弁論は12月14日。菅島町で大正時代から続く採石事業に関連し、約40年間議論されてきた土地の問題は民事訴訟に発展した。

鳥羽市の中村欣一郎市長が28日の定例記者会見で明らかにした。市によると、裁判で土地の権利が争われるのは菅島町村山地区の山林124万6500平方メートル。旧菅島村の土地で、市は昭和53年8月に市名義の土地として法務局に登記したが、町内会が管理している。山林の一部で、名古屋市の鶴田石材が採石事業を行っている。

この土地は、昭和29年11月の町村合併の際に「所有が菅島村から鳥羽市に移った」とする市と、「町内会の財産」と主張する菅島町の間で長年議論されてきた懸案事項。平成11年には町内会が調停の申し立てをしたが、翌年には取り下げた経緯がある。

木下吉久町内会長(56)は「登記は市の錯誤。(山林は)40年間名義を返してほしいと申し入れたが、司法の判断に委ねたい」と話した。

市は「裁判に影響がある」として訴状の詳細を明らかにしていない。中村市長はこの日の会見で「訴状を精読しているのでコメントできない」と語った。

配信2017-11-29
伊勢新聞
http://www.isenp.co.jp/2017/11/29/10862/