0001サーバル ★
2017/11/30(木) 00:32:01.61ID:CAP_USER9山本一郎 | 個人投資家・作家
11/29(水) 15:15
遅れ馳せながら、昨日のドワンゴ川上量生会長によるニコニコ動画のサービス発表を観ました。確かにユーザーからすると愛着があるほど「これじゃない」感じが見えてしまい、非常に惨憺たる酷評をされてしまった、というのが実態のようです。
niconico「く」、ネットの反応は“大荒れ” 新機能よりも「まず画質・高速化」- ITmedia NEWS
別にドワンゴや角川グループの実態や、業務全体でのニコニコ動画の位置づけがどうなっているのかは分からないので、川上さんが発表した開発スケジュールの妥当性や、開発コストの見積もりその他が適正であるかなどは判断できません。わざわざ発表してその内容がこれであった以上、きちんと吟味して結果としてこういう内容であったということであれば、仕方がないのかなとも思います。
しかしながら、コンテンツの製作委員会を手がけたり、広告をニコニコ動画に掲載していた当方からすれば、ニコニコ動画は客層が限定され、ものすごくニッチな人たち相手にしかリーチしないメディアであるという認識はこの三年近く続いていたのも事実です。それでも熱量の高いニコニコ視聴者はいるし、アニメやサブカルは相変わらず強いセグメントを持っているので、大負けはしないまでもグライダーのように滑空しながらコンテンツ業界関連メディアの一角として頑張り続けるのかな、と思っていました。
ただ、告知媒体としてのニコニコ動画は、コンセプトの陳腐化とともに話題の波及効果としてはSNS広告に負け、アニメファンやゲーム好きにはAbemaTVやYoutube、Twitchなど他の動画サービスに負けるという傾向が顕著になってきました。とりわけ、一番広告宣伝費を投下するメディアタイアップもののスマートフォン向けアプリの広告では、ニコニコ向けの企画数が激減し、これといった営業をしてこないYoutubeにすら負ける、という状況ですから、日本の動画絡みのカルチャーを牽引してきたニコニコ動画が劣勢を跳ね返せていない現状が明らかなのではないかと感じます。
決定的なのは、ユーザーが求める画質の向上や読み込みスピードの改善といった動画サイトのサービスとして基本とされるパラメータが相対的に弱くなっても、これへの改善に踏み込めないことです。同様に、スマートフォン向けの動画配信のニコニコ動画のシェアは取り返しがつかないほど低迷しているのが実情です。ここをテコ入れしなければ、顧客の信頼を回復することは困難で、また熱量が下がるニコニコ動画に広告を出そう、タイアップ企画を持ち込もうというIPホルダーも少なくなります。
たぶん、川上さんもその周辺もそこがニコニコ動画の弱さであることは分かっていると思います。ただ、いみじくも川上さんが「(AbemaTVやYoutubeなど競合サービスと)違うところで勝負をする」と語るのも、そこで競争しても底なし沼であり、ニコニコ動画の独自性を確保できるような新機能で差別化を図り生き残るしか無いのではないか、と考えたのかと思います。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20171129-00078709/