福岡市 ミサイル訓練 朝の列車、一時一斉停止
毎日新聞2017年12月1日 12時44分(最終更新 12月1日 13時16分)
https://mainichi.jp/articles/20171201/k00/00e/040/204000c

 福岡市で1日午前、北朝鮮からの弾道ミサイルが上空を通過したとの想定で対応訓練が実施された。政令市での実施は初めて。市内全域の携帯電話に緊急速報メールが配信され、鉄道各社も参加し市内を走る地下鉄やJR在来線、私鉄の全線で数分列車が止まった。公園から地下通路に避難する訓練も実施されたが、会場では平和運動の市民団体が「戦争の危機をあおるな」と抗議した。【合田月美、佐野格】

政令市で初の実施
 「ミサイルが発射された模様です。建物の中または地下に避難してください」。午前10時、発射を知らせる携帯電話に緊急速報メールが配信され着信音があちこちで鳴る中、福岡市中央区の天神中央公園で、親子連れや周辺の事業所の約50人が階段を駆け下り地下通路へ。頭を抱えて身をかがめた。参加した中央区の坂本和子さん(75)は「階段を駆け下りるのが難しかったが、訓練をやらないと分からなかった。参加してよかった」と話した。
 同市中央区の舞鶴小学校(児童数624人)では校内放送を受けて、運動場で体育の授業中だった6年生約30人が校舎に駆け込み、教室では児童らが窓から離れて身を伏せた。
「関係ない」乗客冷ややか
 西鉄は天神大牟田線や貝塚線で、運行中の列車を最寄り駅に一時停車させた。各列車で1〜2分程度の遅れが出たがトラブルはなかったという。天神大牟田線の列車に乗車していた福岡市の会社員、柴田淳一郎さん(49)は「最寄りの薬院駅に止まったが、通常よりも少し長めに止まっていたぐらいで混乱もなかった。鉄道会社側は訓練をやる意味があるんだろうが、乗客にとっては関係ないのでは」と冷ややかだ。
 訓練は内閣官房と総務省消防庁との共催で全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動したと想定して実施された。内閣官房によると、政府と地元自治体によるミサイル想定の避難訓練は都市部では初めて。内閣官房担当者は「大都市部での訓練は初めてで意義は大きい。先進例として訓練を増やしていきたい」としている。
反対派は抗議
 天神中央公園では訓練に反対する市民グループのメンバーらが横断幕を掲げ「戦争の訓練に市民を巻き込むな」などと拡声機を使うなどして訴えた。
 市に3回中止を申し入れた市民グループの代表の脇義重さん(72)は「福岡市は、訓練によって北朝鮮に日本が臨戦態勢に入ったと思わせ、戦争の危機を高めてしまうことが分からないのか」と抗議した。