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千円も取られる「森林環境税」

森林環境税は、住民税を払えている人から年間千円をさらに上乗せして払わせる案が有力。

納税者は約6千万人に上るとみられ、国が森林面積や林業就業者数などに応じて市町村に配分する方向だ。36年度の導入を検討しているが、前倒しされる可能性もある。

増税してでも確保すべき重要なことなら、ほかの予算をばっさり削ってでも優先的に資金を捻出するのが筋だが、自然保護のイメージが先行するので、痛税感を和らげやすいとの思惑があるのか。

いずれにせよ、植樹や花畑を作るようなエコロジー運動をぼんやりとイメージしてはいけない。

目的税は、あらかじめ使い道を決めておくものだが、きっちりとチェックして見直す仕組みにしておかないと、野放図に税金がとられっぱなしになってしまう。

森林税は法定外目的税として導入している地方自治体がすでにある。森林組合などが委託を受けて行う間伐の支援のほか、農道整備、人材育成の講習会、木材利用の普及活動といった多様な事業に税金が使われている。

税金の使い道をある程度広げ、あまり限定しないように求める声は政治家から強い。もし森林環境を保護するには、下水道や林野に通じる道路も必要だと使い道を変えていくと、一般財源と変わらなくなってしまう。

少なくとも、なぜ納税額が「千円」も必要なのか。納得のいく説明は不可欠だ。事業を絞り込めば、課税額も減らせられるはずだ。

税制改正ではこのほか、観光資源の整備のための財源を作るとして「観光促進税」の名で日本から海外に出て行く人に課税する出国税が創設され、たばこの増税も決まる見通し。最近ヒット商品となっている加熱式たばこも目を付けられた。

足元では、景気回復にともなって人手不足の問題が顕在化。有効求人倍率は改善し、アルバイトの時給もアップ、大手企業を中心に賃上げ意欲も強まっている。

しかし、景気は必ず浮き沈みを繰り返す。税金の負担は収入が苦しくなったときこそ、ずしりと重くなってくる。

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http://www.sankei.com/west/news/171206/wst1712060005-n1.html