「残業」管理怠慢県認める 15年男性職員過労死 遠慮?月107時間を78時間と申告 再発防止へパソコン履歴で監視
2017年12月13日 06時00分
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男性県職員の過労死について記者会見する尾野賢治総務部長(右)と広瀬祐宏企画振興部長

 月107時間を超える時間外労働(残業)が原因で県職員の男性=当時(34)=が過労死していた。
県は残業を78時間と把握していたが実態とは約30時間の開きがあり、管理態勢の甘さが露呈。
県は「業務管理に怠慢があった」として職員の遺族と慰謝料など約7千万円を支払うことで合意する一方、再発防止に乗り出した。

 「非常に真面目で責任感の強い職員。休日に仕事に出ていたこともあった…」。1日、県の記者会見で当時の上司だった広瀬祐宏企画振興部長はうつむき加減に語った。

 男性職員は、観光・地域振興課に所属。訪日客誘致や映画撮影などに伴うロケ地観光の推進を担当していたが、2015年12月不整脈で死亡した。
遺族は16年1月、民間の労災に当たる公務災害を地方公務員災害補償基金大分県支部に申請。今年3月に「死亡と職務に因果関係が認められる」として公務災害に認定された。

 当時、職員の申告に基づいて上司が把握していた病死直前4週間の残業は月78時間32分だったが、職員のパソコンの使用履歴を調べたところ107時間44分だった。
「申告」と「履歴」とでは約30時間の開きがあり、「過労死ライン」とされる月80時間を優に超えていたのだ。

 遺族は今年3月、県に1億498万4千円の損害賠償を請求。
県と訴訟外で交渉を続け、県が6955万9千円を和解金として支払い、謝罪と再発防止に取り組むことが和解案に盛り込まれた。

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 「上司に遠慮して(男性職員が)時間外勤務を過小に申告した可能性は否定できない」。県の尾野賢治総務部長は残業管理について現行制度の不備を認める。

 今の制度では、職員が残業するときは、上司に仕事内容と時間帯を事前に申告し、許可を得て行う。翌朝、申告通りの勤務だったか、上司が職員に聞き取り、システムに勤務時間を入力する。
病死した男性職員も同様に申告し、残業は78時間とされた。

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