「ヒトヨンマルロク、通過!」。外国で緊急事態が起きた時に現地の日本人を退避させる「邦人保護訓練」を、自衛隊と外務省が合同で行いました。北朝鮮の核・ミサイル問題が収まらず、韓国に住む日本人の安全をどう確保するかに関心が高まっています。荷物は1個・ペットと泣き別れ…。緊迫した訓練を、どう生かすのか。リアルにこだわる現場で「限界」も見えました。(朝日新聞専門記者・藤田直央)

【写真】緊迫!ガチの訓練模様「ヒト・ヨン・マル・ロク、通過!」海外で緊急事態、訓練の現場

陸自装甲車で郊外へ
 訓練が報道公開されたのは冬晴れの12月13日、埼玉県狭山市にある航空自衛隊入間基地での場面です。

 訓練はこんな想定で行われました。ある外国で緊急事態が発生。そこで暮らす日本人が避難するため、現地にある在外公館(日本の大使館や領事館)の呼びかけである地点に集合。迎えに来た自衛隊の装甲車に乗り、出国用の自衛隊の航空機が待つ郊外の空港へ向かう――。

 入間基地をその「空港」に見立て、訓練は進みます。

「1406(14時6分)、○○を通過」
【午後2時ごろ】

 基地に入った報道陣がまず案内されたのが、滑走路脇にある広々とした格納庫。一角に設けられた退避統制センター(ECC)が今回の訓練の中枢です。退避する日本人役の人たちを乗せて移動中の装甲車から送信される進行方向の映像が、大型モニターに映っていました。

 装甲車の現在地が「1406(14時6分)、○○を通過」とアナウンスされるたびに、自衛隊員がホワイトボードに書き込んでいきます。

 大型モニターに向き合う中央の三つの席には、今回の訓練を仕切る陸上自衛隊の司令官、航空自衛隊の副司令官と、外務省から参加する在外公館の責任者役が座り、刻々と入る報告をふまえて相談し、指示します。

格納庫で出国手続き
【午後3時すぎ】

 装甲車2台がECCに着きました。陸自が最近導入した輸送防護車MRAPです。地雷や待ち伏せ攻撃に強い構造で、1台で9人を運べます。降りてきた日本人役の十数人はヘルメットに防弾チョッキ。これから出国手続きなので脱ぐように、と陸自隊員が伝えます。

 格納庫内では、一足先に別の場所から運ばれたという想定で、日本人役の人たちが、出国手続きについて空自隊員から説明を受けています。「セキュリティー・チェックにご協力下さい」「手荷物は1人1個、10キロ以下」「ペットは持ち込めません」……。

 自衛隊の航空機に民間人が乗る際の制限はケース・バイ・ケースですが、今回は退避で一刻を争う状況なので、人間を多く早く運ぶことが最優先です。ペットとは泣き別れとなりましたが、「盲導犬は除く」とホワイトボードにありました。

 日本人役で参加したのは計40人ほど。空自が持ち込んだ金属探知機を通り、荷物検査とボディーチェックを受けるとまた集められます。今後は陸自隊員が、航空機へ移動する際の注意事項を伝えます。「次の行動を手信号で示す場合があるので覚えて下さい。進め、止まれ、伏せろ」

 自然災害であれ紛争であれ、国外脱出を迫られる状況ですから、空港でも何が起きるかわかりません。しかも旅行の時と違い、滑走路で待つ自衛隊の航空機まで歩くのです。日本人役の人たちも実は自衛官ですが、硬い表情で出発に備えていました。

長いので続きはソースで
yahooニュース(withnews) 2017 12/18(月) 7:00
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171215-00000001-withnews-soci&;p=1