http://www.asahi.com/articles/ASL195JT6L19UEHF00T.html

 東京大学本郷キャンパス(東京都文京区)の観光名所でもある赤門をくぐり、イチョウ並木を通り抜けて右へ進むと、壁に「医学部教育研究棟」と表示された建物があります。

 白衣を着た人たちが出入りする姿が目に入り、やや緊張しながら歩を進めます。エレベーター内の各階を説明する表示板には「細胞情報学」「細胞分子生理学」「分子予防医学」といった専門分野がずらり。一般の我々にとっては少しなじみが薄い名前ばかりで、最先端の医学がここで研究されているのだろうかと想像が膨らみます。

 13階の表示を見ると「リピドミクス社会連携講座」「公共健康医学専攻講義室」の隣に、「カポ ペリカーノ」の文字が。ここが、目指すレストランです。

まるでおしゃれな隠れ家

 研究棟の中で、まるで隠れ家のように営業しているイタリア料理店。ランチタイムには、おしゃべりを楽しみながら食事をする女性客が目立ちます。東大構内の研究室で働く黒川寿子さんもその一人。「こんなところにレストランがあるんだ、と最初は驚きました」

 実は東大の学生や職員だけでなく、近所に住む一般のお客さんも多いとのこと。たしかに、赤ちゃん連れで食べに来た人たちの姿もあります。一般の学食とはちょっと趣が異なり、おしゃれな雰囲気です。

 ランチは日替わりスパゲティとサラダ、飲み物のセットが860円。リゾット、サラダ、パン、飲み物のセットが910円。手頃な値段でイタリアンを楽しめます。50円をプラスすれば大盛りにできるのも、食べ盛りの学生にとってはうれしいポイント。お肉料理セットも970円です。

 黒川さんは「週に1回くらい、食べに来ています。ボリュームがあってリーズナブルなところが気に入っています」。同じように東大で働く藤田裕子さんは「ゆったりできて開放的なところがいいですね。リゾットもおいしいです」とおすすめを教えてくれました。

 パスタセットを注文してみました。しばらく待つと、山のようにこんもりと盛られたスパゲティが登場。刻んだトマトがたっぷり入っており、しらすの塩味と合わさってすごく食べやすい。サラダもシャキシャキとしておいしい。量の多さを全く感じることなく、あっという間に平らげてしまいました。

夜のディナーも充実

 店の目玉の一つが、大きなガラス窓に面したカウンター席です。正面にはスカイツリーがくっきりと見えます。1人で訪れても大丈夫。風景を眺めながらゆったりと食事を味わうことができます。

店長兼シェフの福田昭二郎さん(44)は「有機野菜をふんだんに採り入れており、料理はほぼ100%手作りです。スパゲティの麺は学生さん向けに多めにしています」と説明してくれました。

 夜のディナーは手の込んだコース料理などを出しており、美しい夜景も楽しめます。さらにハウスワインをはじめとして、各種ワインもそろっています。「お客さんが過ごしやすい空間とサービスの提供を心がけています。1人でも気軽に来ていただければ」

研究の最先端ならでは

 お店を出て廊下のトイレに立ち寄ったところ、男子トイレのマークの下に「緊急シャワー」の貼り紙が。中に入ると、洗面スペースの横にシャワーが備え付けてありました。万が一、実験で薬剤などを浴びてしまった時も、すぐに洗い流せます。やっぱりここは真剣な研究の場でもあるのです。

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