http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42686977

「どういう服を着ていたのか」。性的暴力の被害者が世界中で浴びせられる質問だ。そうやって、被害者が責められる。インドの芸術家で活動家のジャスミーン・パテージャさんは、被害者に非はないと証明するため、事件当時の服を寄付してもらっている。BBCのギータ・パンデイ記者が取材した。

インド南部バンガロールに住むパテージャさんの家の一室は、集めた服の展示室と化している。自分たちの周りの女性たちがいつも着ている、ごく普通の服ばかりだ。しかしその一つ一つに、物語がある。

性的暴行を受けながら生き延びた、サバイバーたちの服のコレクションだからだ。

赤と黒のジャンプスーツは、昨年バンガロールの大晦日イベントで相次いだ暴行事件に巻き込まれた女性のものだ。
「大勢の男が集団で暴れまわり、女性の身体をまさぐったり暴行した時、彼女はその場にいたそうです」とパテージャさんは言う。「どうやって嫌がらせをされて、どうやって逃げ惑ったかを話してくれました」。

続いてパテージャさんは、赤と黒のプリントが入ったクリーム色のクルタ(チュニック)を見せてくれた。驚くほど質素なものだ。インド南部コインバトールの電車で身体をまさぐられたという女性から、寄付されたものだ。

「暴行の被害届を出さないよう説得されたそうです」

次に見せてもらったピンクのドレスは、カナダ・モントリオールの女性のものだという。「『あなたが受け取ってくれないなら、捨てるしかない。持っているだけで気分が悪くなる』と言われた」とパテージャさんは言う。

白いドレス、水着、シャンペン色のドレス、ズボン、学校の制服……。パテージャさんは次々と見せてくれる。実に多彩な服が並ぶその様子は、誰でも虐待や性暴力の被害者になりえるという事実の「鏡」だと話しながら。

「何を着ているかは、まったく関係ない。性暴力に弁解の余地は一切ないし、襲ってもらいたいかのような振る舞いをしていたとか、襲われて当然だなんていう被害者は決していません」
そのため、パテージャさんは自分の活動を「私は求めてなどいない」プロジェクトと呼んでいる。

「私たちの苦痛やトラウマの物語を集めて、ひとつの場所に収めたい」とパテージャさんは言う。
パテージャさんがセックスやジェンダー(性別)に起因する暴力と闘い始めたのは、10年半ほど前のことだ。美術の勉強のため、インド東部コルカタからバンガロールに引っ越した直後だった。
「コルカタで嫌がらせがなかったわけではありませんが、当時私はバンガロールに着いたばかりで、23歳で、守ってくれる家族もいなかった」

「また当時は、路上での嫌がらせについて、女性をからかっているだけのことだと軽視されていました。男子には普通のことで、女子にも普通のことだと。普通のことだと言われていました。現実から目を背けて沈黙するという風潮ができあがっていて、だから続けてもいいのだということになっていました」
(リンク先に続きあり)

(英語記事 The woman who collects clothes of sex assault victims)

2018/01/15

https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/10A46/production/_99266186_jasmine-27.jpg
この赤いクルタは、夫を亡くした女性から寄付された。ヒンズー教徒の女性は夫を亡くすと、赤い服を着てはならないとされる。この女性は赤い服を着たため、嫌がらせを受けた
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/116C6/production/_99266317_jasmine-16.jpg
この服は家庭内暴力の被害者が持ってきた。夫からのプレゼントだったが、これを着ていた時、夫に暴行されたという
https://ichef-1.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/23CE/production/_99266190_jasmine-14.jpg