http://www.sankei.com/smp/premium/news/180120/prm1801200011-s1.html

ねじ曲がった自転車のサドル、散乱するノートや文具、横たわったまま動かない制服姿の2人の少女−。始業式の9日朝、自動車保有率と運転免許保有率が全国1位の群馬県で起きたショッキングな交通事故。前橋市北代田町の県道を登校中の女子高生2人が猛スピードで逆走してきた乗用車に次々とはねられ、重体となった。自動車運転処罰法違反(過失致傷)容疑で逮捕された川端清勝容疑者=同市下細井町=は85歳の高齢で、「気がついたら事故を起こしていた」という供述から認知症などが疑われたが、明確な兆候はなかった。ただ、頻繁に物損事故を起こして家族に運転をやめるよう説得され、「(車の)鍵を隠す」とまで言われていたのにもかかわらず、目を盗んで家を出た。向かった老人福祉センターには交際中の女性がいて、送迎役を務めていた。女性への思いが暴走の引き金になったのか。捜査当局は鑑定留置を決め、詳しい原因を探っている。

 事故現場は、川端容疑者の自宅から直線距離で約550メートル。片側の幅3・2メートルの県道で、脇に白線で分けられた約1メートルの路側帯はあるが歩道は手前で切れている。午前8時25分、2人の女子高生は20メートルほどの間隔で、路側帯に沿って北に1・3キロの校門へと自転車で向かっていた。

 突然だった。黒いコンパクトカーは北へ向かう左車線を南へ逆走する格好で突っ込んできた。最初に市立前橋高校1年の太田さくらさん(16)を正面からはね飛ばし、民家のブロック塀に激突、横転しながら後方から来た同校3年の大嶋実来さん(18)を巻き込んだ。いずれも重体。進学先が決まっていた大嶋さんの命に別条はないが、最初にはねられた太田さんは16日現在も「会話できない状態」(関係者)という。

 川端容疑者は、2人をはねた現場の手前約130メートルの交差点で右折待ちをしていた車のサイドミラーにぶつかっていた。だが止まることなく対向車線に進入、逆走を続ける格好で事故現場に突っ込んでいった。防犯カメラがとらえた事故の映像から、逆走する川端容疑者は2人をはねるまでに4台の車とすれ違っている。正面衝突しかけた男性(74)は「ぶつかったていたら、どうなっていたか…」。現場の県道の制限速度は40キロだが、「70キロは出ていたと思う」と振り返った。

 低速で運転していた男性は、眼前に飛び込んできた黒い車に慌てて反対車線側にハンドルを切った。左横すれすれを猛スピードで走り抜けた黒い車をサイドミラー越しに確認すると、ブロック塀に衝突して激しく横転、2人の学生らしき女性が倒れていた。

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