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まるで容赦なく爆弾が投下される戦場のようだった。草津白根山(群馬県草津町)が噴火した23日、
草津国際スキー場に設置されたカメラは、噴火当時の衝撃的なゲレンデの状況を捉えていた。
巧みに滑るスキーヤーに降り注ぐ大小さまざまな噴石。その落ちた場所からは次々に雪煙が上がり、
倒れ込む人の姿もあった。

■無数の噴石 次々

映像では、噴火発生時、10人のスキーヤーが1列になってゲレンデを滑っていた。噴石が飛び始めた後、
画面右端から大量の黒煙がロープウエーのある左方向に流れ、無数の噴石が次々に落ちていった。
山肌やゲレンデに雪煙が立ち上り、10人の中でやや後方にいた人が倒れた後、全員が雪煙に包まれた。
 
山頂駅に向かうためにロープウエーに乗っていた男性(71)=東京都=によると、直径3、4センチの
噴石二つがガラスを割って飛び込んできた。窓の外に目をやると、ゲレンデに滑っていた3人が倒れ、
1人は動いていなかったという。「自分もあと10分早かったら危なかっただろう」と顔をこわばらせた。

リフトから3人のスキーヤーを救助した男性係員は「突然のことだったので驚いた。
救助した人はリフトに一時取り残され、怖かったと思う」と話していた。

■残された客 必死の救助

草津国際スキー場周辺には消防や警察、自衛隊などの車両が多く集まり、ゲレンデやロープウエーの
駅に取り残された客らの救助に当たった。
 
「救助に向かった先は火山灰や噴石があり真っ黒だった。信じられない景色だった」。
同スキー場パトロール隊長の中沢卓さん(48)は、噴火直後の様子をこう証言した。一変した光景の中に
脚や腰を痛めた自衛隊員、息苦しそうにしている人を見た。救助ボートを使っての活動は泥の上を進む感覚だったという。

救助隊員によると、午前11時ごろからゴンドラやリフト、山頂駅近くのレストランにいた人たちが次々と
医師や看護師が詰める中腹の山麓駅近くのレストランに運ばれてきた。自力で歩けず支えられたながら入ってきた人もいた。

山頂駅で一時孤立した78人は、自衛隊のヘリやスノーモービル、草津観光公社の雪上車で午後5時55分までに全員が救助された。