2人に1人ががんになるとされる時代ですが、まだ、あまり知られていないがんがあります。「男性の乳がん」です。“女性特有の病”と思われがちな乳がん。男性が乳がんになると、男性ならではの難しさに直面するようです。(さいたま放送局記者 清有美子)

■男性も乳がんになるの?
まず、「男性が乳がんになるの?」と驚いた方もいるのではないでしょうか。確かに女性の場合、毎年およそ9万人が乳がんと診断されると言われ、乳がんは性別で見ると女性の患者が非常に多い病気です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180124/K10011300381_1801241302_1801241337_01_03.jpg

一方で、平成27年度に乳がんと診断された男性は560人、女性を含めた乳がん患者全体の0.6%余りでした。しかし、この10年でみますと、男性の乳がん患者はおよそ10倍に増えています。食生活の変化などが増加の背景にあると指摘されています。

■発見遅れ症状の深刻化も
女性の場合、40歳を過ぎると市町村から補助を受けて乳がんの検診を受けることができます。また、自分で胸を触ってしこりなどの異常がないか、定期的にチェックすることも広く知られるようになりました。

一方で、男性の場合は自分が乳がんになるという認識が薄く、胸にしこりを感じても乳がんを疑う人が少ないのが現状です。このため発見が遅れがちで、乳がんと診断された時には、症状がより深刻になっている患者も少なくないと考えられています。

■診断は「ステージ3B」
埼玉県川口市に住む64歳の男性のケースです。この男性は5年前、入浴中左胸にしこりを見つけました。そのときは脂肪の塊だと思い、深刻には捉えていませんでしたが、別の用事でかかりつけの病院に行った際、何気なく「これ、何でしょうか?」と医師に尋ねました。そして異常に気付いた医師から専門の病院を紹介され、詳しい検査を受けると「乳がん」と伝えられました。

診断は「ステージ3B」。すでに、皮膚の上からがんがわかるほどに症状が進行していました。男性は「自覚症状がないまま症状が進行していたことにショックを受けました。男性も乳がんになるのかと本当に驚きました」と話していました。

男性は手術や抗がん剤治療などを終え、今も薬の服用を続けていますが、手足のしびれや乾燥、冷えなどに悩まされています。1日に何度もクリームを塗り、家の中でも手袋が欠かせません。

(略)

■男性も早期の病院受診を
乳がんは女性の場合、30代後半から増え始める一方、男性の場合は、少し遅れて50代から患者が増え始めると言われています。

NHK:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180124/k10011300381000.html?utm_int=news_contents_news-closeup_003