横浜市内の自宅アパートで生後6カ月の長女を自宅に15時間放置して死なせたとして、神奈川県警が両親を逮捕した事件で、父親が「覚えていない」などと容疑を一部否認していることが29日、分かった。逮捕当初は認めていた。逮捕から2週間以上が過ぎ、長女が死亡するまでの詳細な様子が徐々に判明。市によるフォローも実質的に機能しておらず、再発防止に向けても多くの課題が突きつけられている。(王美慧、写真も)

 昨年5月31日未明。横浜市南区の木造2階建てアパートに、母親(19)からの119番通報で駆けつけた救急隊員は、異様な様子を目にする。

 部屋の床にうつぶせで倒れている長女。近くには縦35センチ、横47センチ、高さ24センチのプラスチックケースがあった。底部分には布団が敷かれていた。長女の“ベビーベッド”だった。

 その後に分かったことだが、長女の身長は68センチ、体重6・7キロ。サイズは足りていなかったが、ケースの側面部分が壊れて外側に倒れていたため、なんとか収まっていたようだった。

 長女は病院に搬送されたが約1時間後に死亡。死因は分からず、病院側が県警に通報した。県警の調べで明らかになったのは、長女が死亡するまでの両親の信じがたい行動だった。

南署によると、長女は父親(29)と母親=いずれも自称派遣社員=の3人暮らし。両親は同署の任意の調べに「31日未明に仕事から帰ると、長女がぐったりしていた」などと説明した。死亡前日の午前9時ごろに哺乳瓶でミルクを与えたあとに一緒に外出し、パチンコへ。その後、午後から当時ともに働いていた運送会社に出勤していたという。両親はさらに「長女を自宅に置いたままパチンコや仕事に行くことは、頻繁にあった」とも話した。

 司法解剖の結果、長女に目立った外傷はなく、死因は脱水症と熱中症の可能性が高いことが判明。同署は放置と死亡との因果関係などを捜査し、長女の死亡から約7カ月が過ぎた今月11日、保護責任者遺棄致死の疑いで、父親と母親を逮捕した。2人は「間違いない。親として失格だと思っている」などといずれも容疑を認めた。

行政によるチェックの目も、事件の未然防止にはつながらなかった。

 現場アパートのある南区の福祉保健センターは女児が生後2カ月ごろの昨年1月19日、母親が未成年であることなどから「要保護児童」に認定。母親に育児状況などを確認するため10回以上接触を試みたが、実際に女児に会えたのは生後4カ月ごろの同3月の1回だけだった。

この面会時に女児から虐待の兆候などは確認されず、健康状態にも問題はなかったため「保護の緊急度が高いとの判断にはならなかった」(市こども家庭課)。母親は4カ月検診の受診を約束したが、結局訪れず、事件は2カ月後に起きた。

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