http://s.kyoto-np.jp/environment/article/20180305000170

 ヒトiPS(人工多能性幹細胞)の培養にかかるコストを大幅に抑える新技術を、京都大物質―細胞統合システム拠点の長谷川光一講師らのグループが開発し、6日に英科学誌ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリングで発表する。iPS細胞を使った再生医療や新薬開発の費用の削減につながる成果という。

 iPS細胞を体細胞から作製したり、増やしたりするのに使う培養液は現在、1リットル当たり5万〜13万円で販売されている。従来品が高価である要因は、微生物などを使って作製する必要があるタンパク質を複数含んでいるためで、これらのタンパク質を使わなくて済むようにすることが低価格化への鍵だった。

 グループは、従来品に含まれるタンパク質のうち、細胞の増殖と多能性の維持に効果のあった2種類の機能を、免疫抑制剤のタクロリムスなど3種類の低分子化合物で置き換えることに成功した。これら3種類はタンパク質に比べると製造が非常に容易で、2種類のタンパク質の代わりに用いると培養液の材料費を1リットル当たり計約8千円に抑えることも可能という。
 長谷川講師は「今回見つけた低分子化合物を用いた培養液の安全性や耐久性をさらに詳しく調べていきたい」と話している。

2018年03月06日 01時10分配信