被災者だと今も感じる 約6割

*ソース元にニュース画像あり*

http://www3.nhk.or.jp/lnews/sendai/20180309/6000000461.html
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を

東日本大震災の発生からまもなく7年になるのを前に、NHKが岩手・宮城・福島の被災者に
アンケートを行ったところ、自分は被災者だと今も感じている人がおよそ6割に上っていることがわかりました。

専門家によりますと、阪神・淡路大震災の調査と比べ2倍以上だということで、
専門家は仮設住宅に1万2000人余りが今も暮らしているなど復興の遅れが背景にあると指摘しています。

NHKは去年12月から先月にかけて、岩手・宮城・福島の3県の被災者や
原発事故の避難者あわせておよそ5700人を対象にアンケートを行い、
全体の3割余りにあたる1932人から回答を得ました。
この中で自分が被災者だと意識しなくなった時期について尋ねたところ、
被災者だと今も感じている人が59%に上りました。

同様の調査は阪神・淡路大震災の際、兵庫県立大学の木村玲欧准教授のグループが行っていますが、
木村准教授によりますと発生から7年の時点で被災者と意識していた人は
兵庫では28%で岩手・宮城・福島では阪神・淡路大震災の2倍以上に上っているということです。

内閣府によりますと、阪神・淡路大震災では5年後の平成12年1月に
仮設住宅の入居者がいなくなりましたが、岩手・宮城・福島の3県によりますと
先月末の時点で、あわせて1万2000人余りがプレハブの仮設住宅で暮らしているということです。

アンケートで自分は被災者だと感じていると回答した名取市の高橋善夫さん(75)は、
震災直後から仮設住宅で暮らし続けています。
名取市の閖上地区に住んでいた(ゆりあげ)高橋さんは津波で自宅を流され
母親と姉、それに妻と次男を亡くしました。
高橋さんは、
「当初は2年ほどで仮設住宅から出られると考えていましたが、
復興が計画どおりに進まず長い時間がかかりました。
少なくとも仮設住宅に住んでいる間は震災を忘れることはないと思います」
と話しています。

高橋さんは仮設住宅での暮らしを少しでもよくしたいとこの7年近くの間、仮設住宅の自治会長を続けてきました。
高橋さんの住む仮設住宅は128戸のうち48戸でおよそ80人が暮らしていて
このうちの半数近くが65歳以上だということです。

震災直後から暮らしているという78歳の女性は
「7年は長すぎます。周りからどんどん人がいなくなっていて心細いです」
と話していました。

転居する人が増えると仮設住宅に残る住民が孤立感を深めるのではないかと心配している高橋さんは、
自宅を再建して仮設住宅を出た後も自治会長を続け転居した人や地域の人も参加できる
お茶会を開くなどして見守り活動を続けていきたいと考えています。
高橋さんは
「みな、仮設住宅から早く出たいのに出られないまま7年が過ぎたというのが本当のところだと思います。
行政には被災した人たちが復興の実感が感じられるよう、仮設住宅に残る人たちはもちろん、
転居した人へのその後の支援も続けていってほしいです」
と話しています。

木村准教授は
「東日本大震災では地震と津波で非常に広い地域が被災したため
今も仮設住宅に住んでいる人が多く、復興の遅れが被災者意識に大きく影響していると考えられる。
住まいの再建を目指すことが復興の大きな一歩で、その上で
阪神・淡路大震災を教訓に住まいだけではなく地域のつながりを作っていくことが必要だ」
と指摘しています。

03/09 19:10