大阪府茨木市で2014年、難病の長女(当時3)を衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死罪に問われた母親(23)=事件時未成年=の無罪が確定する。最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は19日、審理を地裁に差し戻した二審・大阪高裁判決を破棄、裁判員裁判だった一審・大阪地裁の無罪判決を支持する判決を言い渡した。

 母親は全身の筋力が弱い難病「先天性ミオパチー」の長女に十分な栄養を与えず、病院にも連れて行かずに衰弱死させたとして14年12月、同罪で起訴された。

 一審判決は「体格の変化だけで保護が必要と気付けたとするには合理的な疑いがある」として無罪と判断。一方、二審判決は「手足が極端に細くなるほどの体格の変化は異常。保護が必要と気付けていた」として審理を差し戻していた。

 菅野裁判長はこの日の判決で、難病の特性から、母親が「長女の体格の変化は異常だ」と気付けない可能性があったかが問題だと指摘。二審判決について「気付けなかった可能性を認めた一審判決を不合理としたが、その根拠を示せていない。破棄しなければ著しく正義に反する」と結論づけた。

 二審段階で検察側が予備的訴因として追加した重過失致死罪については、「一審判決に誤りはない」として判断しなかった。

 最高検の大場亮太郎・公判部長は「主張が認められなかったことは誠に遺憾だが、最高裁の判断であり、真摯(しんし)に受け止めたい」とコメントした。

 女児を巡っては、養父(26)も保護責任者遺棄致死罪で起訴された。一審段階で訴因に追加された重過失致死罪で禁錮1年6カ月執行猶予3年が確定しており、両親で判断が分かれた。(岡本玄)


朝日新聞DEGITAL 2018年3月19日20時05分
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