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 氷見市阿尾沖で3月初旬からイルカの群れが相次いで目撃されている。専門家は、富山湾では珍しいミナミバンドウイルカと指摘。群れの中の1頭は、石川県七尾市の能登島周辺で生息する個体と確認されており、豊漁が続くマイワシやスルメイカを目当てに移動してきた可能性があるという。(氷見総局長・松田大輔)

 目撃情報が寄せられたのは3日ごろから。氷見沖のほか射水沖でも見つかった。群れはその後も度々姿を見せており、18日には海岸から300メートル沖の唐島付近で数頭が海面から背びれを出し、寄り添うように泳ぐ様子が見られた。うわさを聞いて、海岸には見物の家族連れやカメラを向ける愛好家もいた。

 画像を確認したのとじま水族館(石川県七尾市)によると、体の色や背びれの形などからミナミバンドウイルカの可能性が高いという。もともと温暖な海の沿岸に生息するイルカだが、2001年に「生息の北限」とされる能登島周辺にすみ着き、次第に数を増やしている。

 3日に目撃された群れの中に、ひれの特徴から能登島に生息するミナミバンドウイルカと同じ個体が確認され、同館企画係の加藤雅文さんは「(18日まで)さほど日数がたっておらず、同じ群れと推測される」と話す。

 富山湾では春から初夏にかけてカマイルカの群れがよく見られるが、ミナミバンドウイルカが確認されたのは過去数例のみ。今回群れが来た原因として餌となるマイワシなどの豊漁が考えられるという。

 氷見漁港では3月に入り、マイワシが1日130トン、スルメイカも20トン台の水揚げが続いており、魚津水族館の稲村修館長は「数の増加とともに生息域を広げ、餌を追ってきた可能性がある」と指摘する。一方、氷見漁協では「イルカは種類を問わず恒常的におり、豊漁との関連は分からない」としている。

 ◆ミナミバンドウイルカ◆ 北太平洋の西側や南太平洋、インド洋などの温暖な海の沿岸に生息する。体長は2.5メートル程度でバンドウイルカより少し小さい。口が細長く、腹に黒い斑点がある。国内では唯一、沖縄美(ちゅ)ら海水族館のある海洋博公園(沖縄県本部町)で飼育されている。

3/21(水) 5:00
北日本新聞
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