円が回転して見える「蛇の回転錯視」=立命館大学の北岡明佳教授提供
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 静止画なのに回っているように見える「錯視」について、深層学習(ディープラーニング)で自ら学習する人工知能(AI)も、人間と同様に「回っている」と誤って判断し、錯視が起きていることを、基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)と立命館大学(京都市)などの共同研究グループが発見し、国際学術誌で発表した。

 AIの深層学習は、世界のトップ棋士を次々と破った「アルファ碁」で注目を集めた新技術。画像など膨大なデータを読み込み、判断や予測能力を自ら磨く。画像診断などにも活用されている。

 研究グループは、人の脳と同様に目で見る情報で予測を修正しながら学習するソフトを導入。回転するプロペラの映像を見せ、回転方向や速度などを正しく予測できるよう学習させた。

 次に、同大の北岡明佳教授(知覚心理学)が考案した、とぐろを巻いた蛇の模様が回るように見える「蛇の回転錯視」の静止画を見せると、AIは絵の中の円が回転していると判断し、回転方向や速度を予測した。配色を変えると逆向きに回転していると判断するなど、人と同じ錯覚が起きていると分かった。

 同研究所の渡辺英治准教授(動物心理学)は「AIが錯視というエラーを起こす可能性が分かった」としている。【亀井和真】

2018年3月21日 07時30分(最終更新 3月21日 08時14分)
毎日新聞
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