全国一の生産量を誇るソバ産地、北海道幌加内町では、2月下旬に観測史上最大の最深積雪324センチを記録、気温が上がってきた3月下旬になっても、2メートルほどの雪が残り、作柄への影響が懸念されている。融雪剤散布などで対応するが、一部では栽培で最も重要な適期播種(はしゅ)が難しい見通しだ。花の時期には観光スポットとなり、9月には5万人が訪れるそば祭りもあり、天候次第だが作業の遅れは町の経済にも影響する恐れがある。(川崎勇)

減収の恐れ観光も心配 融雪作業に懸命

 「この時期にこんなに積もっているのは初めて。播種が7月までかかる可能性もあり、減収は免れないだろう」

 同町でソバ110ヘクタールや水稲を栽培する田丸利博さん(50)は、胸の内を明かす。例年、5月20日ごろから播種し、遅くても6月下旬には終える。しかし、圃場(ほじょう)には、今も背丈以上の雪が残る。

 気象庁によると、同町の積雪深は、28日午後4時時点で199センチ。同日の気温は午後3時前に平年より8度高い11・5度まで上昇、4月下旬並みの気温となったものの、いまだ平年の1・4倍の積雪が残る。同町が管内のJAきたそらちでは、消雪時期は5月15日前後と予想しており、水稲や小麦なども含め、春作業の開始は10日前後遅れる見通しという。

 中山間地の同町は、山に囲まれており、冬の訪れが早い。播種が遅れると栽培期間が短くなり、十分に実が詰まらないまま収穫を迎える恐れがある。さらに、4月以降、雪解けが急速に進むと増水し、河川の氾濫も危惧される。

 同町はソバの作付面積が全国で最も多い。2017年は111戸が町内の耕地面積の7割に当たる約3400ヘクタール作付け、約2250トンを生産した。農業だけでなく、花が咲く時期は旅行客向けのビュースポットを設けるなど、観光資源にもなっている。

 毎年9月に開かれる「新そば祭り」には、人口約1500人の同町に全国から約5万人が訪れ、日本一のそばを楽しむ。それだけに、減収につながりかねない播種遅れは町の経済を左右する。ソバの価格が高騰する恐れもある。

 町は融雪対策に力を入れる方針だ。ソバより作業時期が早い水稲や小麦の圃場でまく融雪剤に対し、例年助成をしているが、助成額の拡充を検討。新たに水稲育苗ハウスの除雪費用の一部を助成することも検討している。

 JAによると、例年ソバの圃場には融雪剤はまかないが、今年はまいたり、雪割りをして融雪を促す農家もいるという。同JAの幌加内地区代表理事も務める田丸さんは「収量と品質の安定のために、とにかく早く解けてほしい。供給責任を果たしたい」と早期の雪解けに切実だ。

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