毎年2〜4月にかけ多くの人たちを悩ます花粉症。“国民病”とも言える花粉症の症状が交通事故を引き起こす可能性があるとして、一般社団法人・日本自動車連盟(JAF)千葉支部(千葉市中央区)が注意喚起している。

 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが花粉症の4大症状。どれも注意力の低下につながるが、運転中に特に注意が必要なのが、通常のまばたきよりもまぶたを閉じる時間が長くなるくしゃみ。

 同支部によると、時速60キロで車を運転中にくしゃみをした場合、まぶたを閉じる時間を0・5秒とすると、その間に進む距離は約8メートル。何の判断もできないまま車だけが走行していくことになる。

 また、くしゃみをする時は肩などに無意識に力が入ったり、慌ててしまったりして、ハンドルやブレーキ、アクセルを誤操作する可能性が高まる。目のかゆみによる涙で視界がぼやけたり、症状を緩和しようと飲んだ薬で眠たくなり、運転が不安定になることが考えられる。
 実際に花粉症が原因の交通死亡事故が起きている。愛媛県今治市で昨年4月、男性が運転する乗用車が花粉症による連続したくしゃみなどが原因で対向車線にはみ出し、軽乗用車と正面衝突。軽乗用車の男女3人が死傷した。

 男性は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われ、裁判官は「速やかに運転を中止しなければならず、過失は軽いとはいえない」と有罪判決を下した。

 同支部は「花粉症の症状がひどくなると周囲の認識が難しくなる。不要不急の運転は控え、服薬する場合は医師に相談を」と呼び掛け。車内のエアコンを内気循環にしたり、花粉防止グッズの使用を推奨する。

2018年3月29日 05:00 千葉日報オンライン
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