1981年の法改正前の旧耐震基準で建てられた東京都内の大規模な商業ビルやマンションなどの計852棟について耐震診断をしたところ、約2割が震度6強以上の地震で倒壊・崩壊の危険性が高いことが都のまとめで明らかになった。危険性が「ある」を合わせると、全体の3割に上り、巨大地震に向けた対策が急務となっている。

 2013年施行の改正耐震改修促進法は、対象の建物所有者に耐震診断と自治体への報告を、自治体には報告内容の公表を義務づけている。対象は体育館やデパート、ホテルなど不特定多数の人が集まる建物と、大震災で緊急車両が通る幹線道路沿いで比較的高層の建築物。

 都が29日に公表した診断結果のまとめによると、震度6強〜7の地震で倒壊・崩壊の危険性が「高い」とされた建物は156棟(18・3%)。同じ震度で倒壊・崩壊の危険性が「ある」とされた建物は95棟(11・1%)あり、「高い」と「ある」の合計は251棟(29・4%)だった。一方、危険性が「低い」とされた建物は584棟(68・5%)。ほかに改修工事中などの建物が12棟ある。診断結果の報告がない建物も5棟あった。

 危険性が「高い」とされたのは、紀伊国屋書店の新宿本店が入る紀伊国屋ビルディング(新宿区)、JR新橋駅前のニュー新橋ビル(港区)、日本大医学部付属板橋病院(板橋区)など。このうち、科学技術館K棟(千代田区)のように、耐震改修に着手した事例もあった。

 都によると、改正耐震改修促進法は、耐震改修を所有者の努力義務にとどめている。都は、幹線道路沿いの建物の耐震改修に助成制度を設けるなどして改修を促しているが、担当者は「費用の工面や区分所有者間の合意の難しさなどから、改修が進まないケースも多い」としている。(伊藤あずさ、岡雄一郎)

■震度6強以上で倒壊・崩壊の危…

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