毎日新聞 2018年3月30日 08時56分
(記事元に写真あり)
https://mainichi.jp/articles/20180330/k00/00e/040/226000c

 国の天然記念物・コウノトリの野生復帰に取り組む千葉県野田市の飼育施設「こうのとりの里」から
2016年6月に放鳥された雄の「ひかる」が約1年9カ月ぶりに、生まれ故郷に戻ってきた。
29日午前8時半、公開ケージの上に立っているのを飼育員の千葉篤樹さん(25)が見つけた。
放鳥した幼鳥が戻ってくるのは初めてという。

 同施設では、将来の近親交配を避けるため、有精卵を他施設と交換して別のペアにふ化させる
「托卵(たくらん)」を昨年までの2年間行っている。ひかるは兵庫県の県立コウノトリの郷公園から
譲り受けた卵からふ化した。兄弟の「きずな」は現在、茨城県稲敷市で活動している。

 装着した全地球測位システム(GPS)や目撃情報によると、ひかるは16年8月24日まで
野田市江川地区で活動した後、しばらく栃木県内で行動。その後、静岡県を中心に、東西の広いエリアを
活動の場としていた。

 千葉さんは「(発見した時は)涙が出そうなほどうれしかった」と感激する。同施設では今年も
26日までに3羽のヒナが誕生するなど喜びが続く。同市の鈴木有市長は「このまま居着いてくれればうれしい。
臆病な鳥なので、あまり近づかないで温かく見守ってほしい」と呼び掛けた。
【橋口正】