“簡単に稼げる”在宅ワーク、副業の落とし穴 「月収200万円以上稼ぐ人も」「何もせず100万円」
3/30(金) 9:38配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180330-00000528-san-soci

 空き時間を利用した「副業」や「在宅ワーク」などに絡み、トラブルに巻き込まれる消費者が相次いでいる。問題が表面化しているのはパソコンやスマートフォンを使って「簡単に稼げる」と持ちかけられ、初期費用や商材購入費などとして多額の金を請求されるケース。甘い言葉と巧みな話術への警戒が必要だ。

 「手軽に在宅・副業! 誰でもすぐに収入UP!」「スマホから業務に参加できるので家でも外出先でも業務可能!」。2月、消費者庁が注意喚起のため事業者名を公表した「ソーシャルネット」(東京・六本木)「スマートプラン」(東京・銀座)の2社はウェブサイト上でこんな勧誘を行っていた。

 消費者庁によれば、在宅ワークの提供をうたうこの2社は、消費者から連絡がくると「仕事はキャッチコピーの作成」「あなたの文章がきっかけで商材が売れれば報酬が出る」などと説明。研修と称して在宅ワークに関するキャッチコピーなども作成させていた。

 研修では「反響がある」などと“稼げる気”にさせ、1日1000円の手当ても付けていた。そして、本採用の通知後、始まるのが高額請求だ。

 仕事をスタートさせるためにはホームページ(HP)制作など「初期費用」(約50万円など)の支払いが必要だとし、「あなたなら1カ月で60万円ぐらいは稼げるから14日間もやれば元が取れる」などと説得も行っていた。代金が支払われると今度は「HPにアクセスが集中して起動が遅くなっている」などとHP改良費として「追加費用」(約500万円など)を要求することもあった。

 仕事の開始当初は報酬として1日当たり数千円が数回支払われるが、その後は支払いはなくなるという。

 2社は所在地としていた東京都内の住所には存在せず、事業実態は確認できなかった。平成28年11月〜30年1月に各地の消費生活センターなどに寄せられた2社に対する相談は計90件、被害額は計約4400万円に上っている。

 こんな事案も明らかになっている。消費者庁が昨年10月、注意喚起のため事業者名を公表した「アイデア」(東京・渋谷=昨年10月時点)は「カシャカシャビジネス」という名称のウェブサイトを開設。写真共有アプリ「インスタグラム」に写真を掲載して売るノウハウを解説した情報商材「カシャカシャブック」を「通常価格10万円が今なら2万円」などと販売していた。

 消費者庁と東京都の調べでは、サイトなどに記載されていた「月収200万円以上稼いでいる人もいる」といった多数の体験談は虚偽だったことが判明した。写真が簡単に売れるわけでもなかった。カシャカシャビジネスをうたったサイトはすでに閉鎖されている。

 一方、こうした不明瞭なビジネスの“誘い手”は業者だけとはかぎらない。ITジャーナリストの高橋暁子氏は「最近は一般ユーザーがインスタグラムに勧誘情報を忍ばせるケースも増えている」と指摘する。

 手口の一つは、まずレストランやブランドバッグなど“優雅な生活”を想像させる写真を投稿。その上で、「何もしなくても100万円」「もうかる秘密が知りたければ連絡を」といった情報を掲載する。連絡してきた人には商材購入などを勧めることが多いという。

 「誘い手は『僅かな時間を利用して稼げれば』『少しだけ自由になるお金が欲しい』といった多くの人々が持つであろう心理を利用してくる。インスタグラムでキラキラした生活を見せられて勧誘されると『もしかしたら私も』と思いがちだが、『そもそも簡単に稼げる仕事などない』と疑ってかかるべきだ」と高橋氏。「行動を起こす前に、勧誘業者の評判を調べるなど情報収集を行い、信頼できる周囲に相談をすることが重要だ」とも語っている。