岡山市内の駐車場で乗用車のボンネットに漂白剤のような液体をかけ、塗装を脱色させるなどしたとして器物損壊罪に問われた同市の無職女性(39)の判決公判で、岡山地裁は20日、「犯罪の証明がない」として無罪を言い渡した。検察側は懲役8月を求刑していた。

判決などによると、女性は昨年1月に近くに住む被害者宅の駐車場で乗用車に液体をかけて約25万円の損害を負わせたとして、起訴された。

 岡本康博裁判官は検察側が証拠とした被害女性とその近隣女性の「液体をかけていた」「コップを持って歩いていた」という旨の目撃証言について、被告と被害女性らとの間には近隣トラブルがあり、「被告に不利な虚偽供述をする動機がある」と指摘。捜査段階と公判廷で、コップそのものを見たという核心部分が曖昧になったり、犯行後の女性を見たとする位置が変わったりしたことなどから「不合理な変遷があり、信用できない」とした。

 また、犯行に使われたとみられる強い刺激臭のする液体が付いた容器が見つかっていないことなどから、女性がやっていないとする主張は「強く裏付けられる」とした。

 判決後、女性は「良かったの一言です」と話し、弁護人の板垣和彦弁護士は「正しい判断をした裁判官に謝意を述べる。捜査に関わった人は同じことを犯さないための教訓にして」とした。

https://www.sankei.com/smp/west/news/180420/wst1804200038-s1.html