アパレル全体のパイが減少傾向にあるなか、ネット通販での売り上げは伸びている。こうした状況で、運賃の値上げやエリア限定など、アパレル輸送も大きく変化している。しかし、輸送面での効率化は進んでいないといえる。アパレル輸送では今でも、手積み・手下ろしが基本となっており、パレットなどの利用は少ない。なぜ、アパレル輸送では、手積み・手下ろしからパレットなどでの輸送に転換できないのだろうか。

 ハンガー便輸送を行っているエクセレント急便(岩本憲一社長、東京都江戸川区)はアパレル輸送のほか、検品・検針、補修・縫製などのアパレルに特化した物流サービスも提供している。創業から16年目を迎える同社では、1トン車から4トン車まで全車ハンガー車仕様でアパレル輸送を行っている。ドライバーは9人で、車両台数は16台。洋服をハンガーにかけた状態で運ぶハンガー車は、ラックや箱などをトラックに積むよりも積載効率が良い。そのため、利用者の多くがハンガー車での輸送を希望している。

 岩本社長は「ラック積みはスピードが速くドライバーにとっても負担が少ないが、積載効率が落ちるため、ハンガー車で運ぶよりも車両台数が多くなる」とし、「台数が多くなると運賃がかかるため、利用者の負担が増える」という。利用者にとっては運賃以外にも、箱への詰め込み作業や開梱作業がいらないハンガー車での輸送は、時間とコストを削減することができ、洋服にもシワができないことから要望する声が多い。ハンガー車での輸送は、4トン1台で最低150回の手積み・手下ろし作業が必要となるため、腰を痛めるドライバーも少なくない。岩本社長は「利用者の利便性を考えると、手積み・手下ろしが基本のハンガー車での輸送が現状ではベストの方法」とし、「ドライバーへの負担はあるものの、ドライバーの応募も多いので、何とか需要を取り込むことができている」としている。

 EC通販などの受注・物流・決済・返品業務を行うフルフィルメントプロバイダーのアッカ・インターナショナル(加藤大和社長、同港区)。同社は現在、EC・ALIS(アリス)・ONEの3つの統合したプラットホームによって、アパレル通販のバックヤード業務をワンストップで提供している。加藤社長は「3PLが通販のスピードについて来れなくなっていたので、委託から自前に切り替えた」とし、「それから返品業務のカスタマーサポートを開始。最近ではシステム開発も行っている」と話す。

 同社では、商品在庫を一元管理し、複数の販売チャネルへ在庫連携を可能にするシステム「ALIS」を開発。このことが、ギークプラス(佐藤智裕社長、千葉県印西市)の物流ロボット「EVE(イヴ)」の導入につながった。加藤社長は「我々の物量はどんどん増えている」とし、「BtoBとBtoCを一緒に扱わなければならないなど、作業も複雑化している。こうした状況で、人材の確保も難しいことからロボットを導入。入荷・出荷ともに4倍のスピードアップを実現した」同社ではさらにロボットを入れているのは千葉だけで100台、夏に向けて増設を進めている。ロボットの導入で入荷・出荷ともに4倍のスピードと効率化が進んだ。アリスによって在庫管理ができるので一気に量をさばけるようになり、アリスによって物流が変わった。同社には現在、多くのアパレルメーカーから依頼がきているため、千葉に100台、この夏には川崎のセンターにも100台ロボットを導入するとしている。

 アパレルに特化した物流サービスを提供してきたOPAL(矢野三興社長、同中央区)では昨今、特に取扱量増加が著しいeコマースによるBtoCサービスの多様化対応に力を入れている。現在、寄託業務以外にも撮影スタジオやX線機器を備え、補修加工から撮影などのサービスをワンストップで行い、商品の回転力強化と収益アップに貢献中だ。加えてニューレボ(長浜佑樹社長、同渋谷区)とアライアンス契約した同社では、クラウド型在庫管理「ロジクラ」を活用し、スマートフォンやタブレット端末で伝票バーコード・QRコードを読み取るピッキングが可能。アパレルに加え、他の一般物など多種多様な商品を確実かつ効率良く管理する体制を構築している。


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物流weekly 2018年5月14日
https://weekly-net.co.jp/news/36624/