食糧を横取りする「泥棒蜂」が新たに15種発見される…その恐ろしい生態
2018.05.15 19:00

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カナダ・ヨーク大学の研究者が新種のハチを一挙に15種も発表し、学会の注目を集めている。

トーマス・オヌフェルコ氏(生物学)が学術誌ZooKeysに寄稿した185ページにも及ぶ壮大なスケールの論文は、北アメリカ大陸(メキシコ以北)に棲息する希少なムカシハナバチヤドリ属 (Epeolus)のハチ全43種の生態や特徴を図鑑さながら詳細に記述し、その中にはこれまで新種と認識されていなかった15種が含まれた。

研究の広さと深さにも目を見張るものがあるが、それ以外にもオヌフェルコ氏の研究にはおもしろい特徴が三つある。

ムカシハナバチヤドリ属が労働寄生蜂であり、その新種の多くは野外ではなく博物館で発見されたこと、そしてハチが教えてくれる環境保護の大切さだ。

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Credit: Thomas M. Onuferko via ZooKeys

■ 泥棒蜂

「労働寄生蜂」であるムカシハナバチヤドリ属の習性は恐ろしい。ほかのハチの巣にこっそりと忍び込んで卵を産みつけ、孵った幼虫は宿主であるハチの幼虫を殺して蓄えられていた食糧を横取りする。
カッコウ類の托卵とも似ているため、「カッコウ蜂」とも呼ばれる。エサの横取りは人間社会では盗みに相当するので、「盗寄生性蜂」とも…。

いずれも不名誉なムカシハナバチヤドリ属がターゲットするのがムカシハナバチ属(Colletes)。単独で巣作りするハチなので、寄生されやすい。

ムカシハナバチヤドリ属も同じく単独で行動し、巣作りをしないので、屋外では見つけにくいそうだ。5.5〜10ミリという小ささも新種の発見を妨げる原因となってきた。

オヌフェルコ氏がヨーク大学に語ったところによると、アメリカやカナダといった身近で研究しつくされたフィールドにおいても、ムカシハナバチヤドリ属はなかなか発見しにくい。
加えてひとつひとつの種が非常に似通っており、外見だけでは見分けられない新種もいくつかいるそうだ。オヌフェルコ氏はDNA検査という強力な手法を使って、アメリカとカナダの昆虫博物館が所蔵しているムカシハナバチヤドリ属の標本を片っ端から調べた。

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