豚枝肉相場が高騰している。東京食肉市場では上物が1キロ700円に迫る勢い。6月は出荷減で相場が上昇する時期だが、例年以上に落ち込みが大きく、相場はここ10年で2番目の高水準。豚流行性下痢(PED)の影響で、昨秋以降の子豚出生頭数が少ない影響が続いている。相場高は今後も続く見通しから、「割安な輸入の出回りが増える」(産地関係者)との警戒感が強まっている。

 同市場の7日の上物価格は1キロ673円。前年同期を3%(22円)上回る。5月から高騰した相場は高値だった前年を上回り、11営業日連続で1キロ650円以上で推移する。7日まで5営業日の東京市場の取引頭数は前年同期比3%減の3315頭。市場関係者は「出荷頭数が予想以上に集まらない」とこぼす。全国的に品薄で、相場が高騰している。

 関東の主産地では昨秋以降の子豚出生頭数が前年を約5%下回る。「PEDで母豚の出産能力が低下し、回復が遅れている」と関東の畜産関係者。2014年のPED発生以降、生産基盤の弱体化が進む。全国の豚飼養頭数は17年2月現在で934万頭。10年で4%(40万頭)減った。

 相場高から国産需要は鈍い。仲卸業者は「大手スーパーがバラを中心に輸入品に切り替えた」と話す。国産の相場高が今後も続くとの見方が広まっているため、東京都内の大手輸入業者は、「7月輸入分の注文が増えている」と説明する。

 今後の輸入は他国の動向によって、変わりそうだ。メキシコ政府は米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への報復措置として米国産豚肉に20%の追加関税を課すとしている。輸出が止まった場合、「メキシコに多く輸出される米国産モモ肉などの現地相場が下がる」(都内の輸入業者)。モモ肉は日本がほとんど輸入しない部位であるため、国内市場への影響は不透明だが、「他の部位を含め、(米国から)日本へ売り込みをかけるきっかけになる」(別の輸入業者)との見方もある。

日本農業新聞

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