2018年6月15日 13時01分
 奈良県葛城市商工会が、7月15日に予定していた「葛城市納涼花火大会」を中止すると決めたことがわかった。来場者が年々増えて、安全確保が難しくなり、違法駐車や交通渋滞も問題になっていたためという。1963年から毎年続いてきた人気の恒例行事だったが、中止は初めて。

 花火大会は毎年7月、葛城山の麓に位置する屋敷山公園一帯で開催。打ち上げ場所と観覧席が近く、約3000発の花火が間近に見られると好評で、県内外から約1万5000人が訪れているという。

 市商工会は雑誌への広報などを控えてきたが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で情報が拡散。京阪神からも広く訪れるようになり、実際の来場者数はもっと多くなっているらしい。

 大会終了後は会場出口の狭いエリアに観客が殺到。道路沿いの違法駐車も後を絶たなかった。事前に警備対策を話し合う会合でも、会場の許容人数を超えて危険だと指摘され、安全を確保できないとして、中止を決めたという。

 市商工会の関係者は「ここ2、3年は、会場から順番に退場するよう呼びかけても追いつかない状態で、危険だった。楽しみにしている人たちには本当に申し訳ないが、苦渋の決断だ。安全対策を練り直し、再開を目指したい」とした。

 中止の報を聞いた大和高田市の大学1年の女性(18)は「大きな花火が真上に上がるのが迫力満点で、子どもの頃から毎年楽しみにしてきた。来年は必ず復活してほしい」と残念がった。(福永正樹)

http://yomiuri.co.jp/national/20180615-OYT1T50037.html