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「貿易戦争」突入へ=米、5.5兆円に制裁関税−中国は同規模報復
2018年06月15日23時57分

 【ワシントン、北京時事】トランプ米政権は15日、通商法301条に基づき、中国の知的財産権侵害を理由にした貿易制裁の対象とする品目の最終案を公表した。25%の関税を課す中国製品は1102品目、総額500億ドル(約5兆5300億円)。7月6日から段階的に実施する。中国は同じ規模の関税で報復すると表明、米中貿易摩擦は全面戦争が避けられない状況となった。

 米通商代表部(USTR)によると、4月に公表した制裁原案に沿い、航空宇宙、情報通信、産業ロボットなどのハイテク製品を主な標的にした。携帯電話やテレビは含まれない。品目数は原案の約1300から縮小した。第1弾として7月6日から818品目に課税し、残る284品目は企業などから意見を聴取した上で判断する。

 これに対し中国商務省の報道官は、同規模の追加関税で報復すると表明した。中国は、米国が3月下旬に実施した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限への報復関税を発動済み。

 通商法301条は、「不公正貿易」と判断すれば大統領の権限で制裁措置を講じることを認めている。米国は、巨額の補助金を使う中国のハイテク産業育成戦略「中国製造2025」の見直しを求めてきた。トランプ大統領は声明で「米中貿易は長い間、非常に不公平だった。こうした状況は続けられない」と訴え、中国が報復措置を講じれば、新たな追加関税を検討すると強調した。制裁が報復を呼ぶ泥沼の展開となり、両国の経済や雇用に悪影響が及ぶのは必至だ。

 米中は5月半ばの貿易協議で、制裁関税を保留する「休戦」でいったんは合意していた。核問題で北朝鮮の後ろ盾である中国の協力を必要とするため、発動見送りの可能性も指摘されていたが、トランプ氏は発動を決めた。