◆iPhone 機種変したら見知らぬ名前…ひょっとして“流出”?

世界的に人気の高いスマートフォン、iPhone(アイフォーン)の機種変更をしたという佐賀県在住の男性から、首をかしげる情報が届いた。
「店頭でデータを移してもらったら、見知らぬ外国人200人の名前が…」。

スマホの連絡先リストに、発売元のIT大手「アップル」社員とみられる人物の電話番号やメールアドレスが追加されていたという。
まさか、データ流出?

アーロン・アッカーマン、ケビン・エンジェル…。男性が見せてくれたアイフォーンの連絡先には、アルファベットの氏名が並ぶ。
いずれもメールアドレスのドメイン名は「@apple.com」。

アップル社員のようだが、知り合いではない。
旧端末に登録していた友人や知人の連絡先は無事残っていた。

男性の説明によると、4月に佐賀市内の代理店でアイフォーンの機種変更をした際、インターネット上で情報を保存できるクラウドデータサービス「iCloud(アイクラウド)」を介して旧機器からデータを移してもらった。
店員から新端末を受け取って帰宅後、連絡先に謎の人々が加わっていることに気付いた。

代理店に苦情を言って案内されたアップルの日本法人「アップルジャパン」(東京)からの回答は「システムや機器の不具合が原因とは考えられない。追加された連絡先を削除して」というものだったという。
取材班はアッカーマン氏らの連絡先に電話をかけてみた。

が、いずれも「現在使われておりません」。
メールアドレスも使われていなかった。

      ■

取材を続けると、福岡市の男性会社員も数年前、似たようなトラブルに見舞われていた。
やはり店頭でデータを移行してもらった後、見知らぬ画像が自分の端末に入っており、「気味が悪くなって削除した」という。

アップルジャパンに取材を申し込んだが、回答はなかった。
ただ、同社の関係者は「アイフォーンやアイクラウドのセキュリティーは米国防総省も認める堅牢(けんろう)さを誇っており、不具合でデータが流出するのは考えにくい。流出の前例もない」と言う。
では一体−。

関係者によると、店頭に置かれたデモ機にはアップルに実在する社員の名前や顔写真が連絡先に登録されている。
「架空の名前だと、顧客名と偶然一致する可能性がある。誰にも迷惑をかけないための措置」で、メールアドレスや電話番号はダミーだそうだ。

佐賀県の男性が代理店のスタッフにデータ移行を頼んだ際、何らかの手違いでデモ機用のアカウントで作業が進んでしまい、ダミーの連絡先が男性が買ったばかりの端末に追加されたとみられるという。
真相はデータ流出という深刻な事態ではなかったようだ。
関係者は「200人分のデータをユーザー自身で削除するのは大変。端末を送ってもらい、アップル側で処理すべきだった」と話した。

西日本新聞 2018年06月23日 14時01分
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/anatoku/article/426947/