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大飯原発3・4号機 運転差し止め訴訟 きょう2審判決
2018年7月4日 4時28分各地の原発

福井県にある大飯原子力発電所3号機と4号機について、住民らが関西電力に運転しないよう求めている裁判の2審の判決が4日、名古屋高等裁判所金沢支部で言い渡されます。1審は、運転しないよう命じる判決を言い渡しましたが、3号機と4号機は国の審査に合格し、営業運転を始めていて、高裁の判断が注目されます。

大飯原子力発電所3号機と4号機の運転をめぐり、住民らが関西電力に対して起こした裁判で、4年前、1審の福井地方裁判所は「地震の揺れの想定が楽観的だ」などとして運転しないよう命じる判決を言い渡しました。

福島第一原発の事故のあと、原発の運転を認めない司法判断は、これが初めてで、関西電力が控訴し、対象外とされた一部の原告も控訴しました。

2審でも、地震に対する安全性が最大の争点となり、住民側の証人となった原子力規制委員会の元委員は「地震で起こり得る最大の揺れが過小評価されている」などと指摘しました。

一方、関西電力は「詳細な調査を行って最大の揺れを想定していて、原子力規制委員会も想定を見直す必要はないと結論づけている」などと主張しました。

大飯原発3号機と4号機は去年、原子力規制委員会の審査に合格し営業運転を始めていて、名古屋高等裁判所金沢支部がどのような判断を示すのか注目されます。

判決は、4日午後3時に言い渡されます。

運転めぐる経緯

大飯原発3号機と4号機は、福島第一原発事故のあと、原発の安全性が根本から見直されることになったため、国内のほかの原発と同様、運転を停止しました。

しかし、翌年の平成24年、当時の野田総理大臣は、夏の電力需給のひっ迫を理由に、大飯原発3、4号機を例外的に再稼働させることを決め、暫定的な安全基準のもとで、翌年の9月まで1年3か月にわたって運転されました。

これに対し、平成24年11月、地元の住民などが「安全対策が不十分だ」として運転の差し止めを求める訴えを起こし、福井地方裁判所は平成26年5月、「地震の揺れの想定が楽観的だ」などとして、再稼働を認めない判決を言い渡しました。

福島第一原発の事故のあと原発の再稼働を認めない判決は初めてで、国や電力会社に衝撃が走りました。

関西電力が控訴したため、すぐに効力は生じず、名古屋高等裁判所金沢支部で始まった2審も、地震の揺れの想定が最大の争点となりました。

去年4月には、原子力規制委員会の委員長代理を務めた島崎邦彦元委員が原告側の証人として出廷し、国の審査に用いられている、地震の揺れを算出する計算式に問題があるとして「揺れが過小評価されている」などと証言しました。

これに対し、関西電力は「計算式の妥当性は多くの研究者が確認している」などと反論し、裁判は去年11月に結審しました。

一方、大飯原発3、4号機は去年5月、国の新しい基準に基づく原子力規制委員会の審査に合格。ことし3月に3号機、5月に4号機がおよそ4年半ぶりに再稼働し、いずれも営業運転を始めています。

裁判の主な争点
(リンク先に続きあり)