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「ごみ屋敷」強制撤去 名古屋地裁
2018年07月04日


■住人男性立ち退きへ

 名古屋市中区松原の住宅が大量にため込まれた生活用品で「ごみ屋敷」化している問題で、名古屋地裁は3日、建物の明け渡しを命じた判決に基づく強制執行を始めた。地裁職員の立ち会いの下、作業員が屋内外に積み上がった空き缶や段ボールなどの物品を次々にトラックで搬出。作業は5日までに完了し、住人の男性(62)は立ち退く予定。

 この住宅は10年ほど前から、空き缶や段ボール、生活雑貨が大量にたまるようになった。周辺の歩道は近くの小学校の通学路だったが、歩道にも物品があふれ出したため、迂回うかいした。周辺住民から市に苦情が相次ぎ、市は男性に撤去するよう指導したが、男性は「ごみではなく資源」と反論したため、解消されなかった。

 一方、住宅の所有者で男性に無償貸与していた親族も2015年5月、男性に物品の撤去を要請。改善されないことから、親族は昨年11月、男性を相手取り、建物を原状回復した上、明け渡すよう地裁に提訴。今年1月、地裁は男性にこれらを命じる判決を言い渡し、そのまま確定した。

 地元の町内会長の浅田栄三さん(65)は「火事が起きたら危ないと思っていた。これで悪臭の心配をしなくても済む」と安堵あんどの表情。そばの病院を訪れた岐阜県土岐市の女性(73)は「これからは安心して通れる」と話した。

 住人の男性は報道陣の取材に対し、「これから物品を片付けるつもりだった。(強制執行に)納得はしていないが、判決を受けたから仕方ない」と話した。

2018年07月04日 Copyright © The Yomiuri Shimbun