ドイツのメルケル首相が、難民や移民の入国を抑制するため国境管理をより厳しくする方針を打ち出したことをめぐり、オーストリアのクルツ首相はドイツと同様にイタリアとの国境の管理を強化する考えを明らかにしました。

メルケル首相は3日、難民の受け入れをめぐる政権内の対立を解消するため、イタリアなどからオーストリアを経由してドイツに入国しようとする難民や移民をオーストリアに送り返したいとする方針を明らかにしました。

これについてオーストリアのクルツ首相が3日会見し「オーストリアが不利益を被るような方針には同意しない」と述べ、ドイツがこの方針を実行に移せばオーストリアも同様にイタリアとの国境の管理を強化する方針を明らかにしました。

ヨーロッパの中部や東部ではハンガリーなど「反難民・移民」を掲げる国が多く、これまで難民や移民を最も積極的に受け入れてきたドイツが方針を転換すれば、国境管理の強化に乗り出す国が相次ぐおそれがあります。

各国が国境管理を強化するいわばドミノ現象が起きれば、EU域内の人とモノの自由な行き来を可能にする「シェンゲン協定」の理念が崩れかねないと懸念する声も上がっています。

2018年7月4日 20時46分
NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180704/k10011508791000.html