◆ペニスはあるのに「妊娠中」雌雄同体サメ あいついで発見!インド

写真:雌雄同体のビッグアイ・ハウンドシャーク。
サメのオスは、腹側に指のように伸びた2つのペニス(クラスパー)を持っている。
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インド東部のベンガル湾で昨年、オスの体をしているのに体内に卵巣がある雌雄同体のサメが相次いで7匹見つかった。
解剖の結果、6匹は妊娠していたという。
海でいったい何が起きているのだろうか?

これは、インドの海洋学者アリッサ・バーンズさんが、先月25日にマレーシアで開かれた第5回国際海洋保全会議で調査結果を発表したもの。
バーンズ氏は2017年、同国東部オリッサ州の港で、地元漁師の協力を得て、サメとエイの生息数について調査を行っていた際、「ビッグアイ・ハウンドシャーク」と呼ばれる深海ザメの異常に気づいた。

このサメは、アラビア海からベンガル湾にかけて、深さ110?2195メートルの大陸棚に生息。
成長すると、オスは体長37センチ、メスは58センチと、オスのほうが小さいことで知られているのだが、オリッサ港で水揚げされるサメは、未成熟のオスですら、体の大きさがメスと同じくらいなのだ。

そこでオス7匹を解剖した結果、腹側に「クラスパー」と呼ばれるペニスはあるのに、体内に精巣はなく、その代わりに卵巣があった。
さらに6匹は妊娠していたという。

サメの仲間では一般的に「雌雄同体」は非常に珍しく、豪ジェームズクック大学のサメ学者コリン・シンフェンドーファー氏は「明らかに発達異常だ」と指摘したうえで、「今まで聞いたなかで最も珍しい症例だ」と驚きを隠しきれないでいる。
しかし、バーンズさんにとって今回のケースは初めての発見ではない。

2005年に海洋生物学誌『ジャーナル・オブ・フィッシュ・バイオロジー』で発表した論文では、太平洋とインド洋で捕獲されたテングヘラザメ80匹のうち、68匹で雌雄同体が確認されたほか、1990年代の調査では、今回と同じ60匹のビッグアイ・ハウンドシャークのうち、3割以上が雌雄同体だったという。
バーンズさんは「発達異常を引き起こす何らかの原因が海で起きています」と述べて、水質汚染やホルモン異常との関連性を追究することにしている。

写真:体内にメスの生殖機能を持った雌雄同体ザメ。
中央に見える赤いものは、卵子が入った卵巣。2つの矢印の先にはサメの胎児が見える
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ハザードラボ 2018年07月21日 06時00分
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