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移民児童1800人以上が家族再会とトランプ米政権 700人以上は再会できず

トランプ米政権は26日夜、裁判所命令の期限に従い、不法移民の子供1800人以上が家族と再会したと発表した。裁判所への提出資料によると、移民当局に収容されている保護者と再会した児童は1442人で、他の378人は「適切な状況」で釈放したという。
しかし、700人の子供は家族との再会対象にならず、そのうち431人の親はすでに米国から強制送還されるなど、米国内にいないと米政府は説明している。

カリフォルニア州サンディエゴ連邦地裁のダナ・サブロー判事は6月末、国境で親から引き離された不法移民の子供は30日以内、5歳未満の子供は14日以内に、親元に返さなくてはならないと判断を示した。その期限が、今月26日だった。

「今晩が裁判所の決めた締め切りに基づき、移民税関捜査局(ICE)が収容する、再会資格のある全保護者の特定を進めている」と、保健福祉省のクリス・ミーキンズ氏は話した。

「適切な状況」で釈放された児童378人には、(1) 米当局によってすでに釈放された両親と再会した子供、(2)親類や家族の友人の元に送られた子供、(3) すでに18歳を超えた子供――が含まれるという。

再会の対象にならないとされた711人のうち、120人については親が「再会を放棄」したという。また、「親に赤信号」、つまり親元へ返すと子供が危険な状態にさらされるおそれがあるため、数十人が再会に適さないと分類された。

米移民当局は今年5月以降、不法移民について「ゼロ寛容」政策を実行に移し、メキシコとの国境から入国書類のない大人と共に入国した子供2500人以上を、大人から引き離して収容した。

ただし、親子引き離し政策をめぐり政府を提訴した米自由人権協会(ACLU)は、米当局はただ単に「自分たちで決めた締め切り」を守っただけだと批判した。

ACLUのリー・ゲラーント弁護士は記者団に、「家族を引き離す自分たちの作業を、政府が誇らしく思うのはおかしい。これは政府が自分たちで作った災難だ」と述べた。

子供と離れされたまま米国を出た保護者数百人の居場所について、ACLUは独自に調査を続けていく方針を示している。

しかし、不法移民を取り締まるICEのジョン・サンドウェグ元長官代行は米CBSニュースに対して、子供と離れたまま国外に出されてしまった親が子供と再会するのは難しいのではないかと述べた。

「その親たちは、子供に二度と会えない可能性がとても高い」とサンドウェグ氏は述べた。

トランプ政権は今月初め、5歳未満の子供100人以上を再会させたと発表した。ただし、その年齢の子供について連邦地裁が命令した期限には間に合わなかった。
政府によると、5歳未満の子供のうち57人は家族と再会できたが、残る46人は再会後の安全性や親が強制送還されたなどの問題から、再会に適さないと判断されたという。

ジェフ・セッションズ司法長官は4月初めに「ゼロ寛容」政策を発表した。5月に入り、南側国境で幼い子供たちが大人から引き離されて隔離されていると人権団体などが指摘するようになり、収容された子供たちの映像や、施設で泣く子供たちの音声が公表されると、米国内外で強い非難の声が上がった。

激しい非難を受けてドナルド・トランプ大統領は6月20日、不法移民の「家族を一緒に」収容するとする大統領令に署名し、隔離政策を停止した。
しかし、再会のための作業は混乱を極めている。親元に送られたはずが、家族はもうその場所を離れていたため、シェルターに送り返された子供たちもいる。

収容隔離政策の対象となったのは、不法入国した家族のほか、本国での暴力や迫害を理由に米国境で亡命を申請した家族も含まれる。難民として亡命を求める人の多くは、エルサルバドルやグアテマラ、ホンジュラス出身。
国境で拘束された子供たちは国内各地の保護施設に送られたが、大人は刑務所や不法移民施設などに収容された。

(英語記事 US child migrants: Trump administration says 1,800 reunited)