◆出産時の対応遅れで障害、1億3千万円賠償命令

出産時に適切な措置が取られなかったため、女児(6)に脳性マヒなどの障害が残ったとして、岡山市の両親が岡山中央病院(岡山市北区)を運営する社会医療法人「鴻仁会」を相手取り、慰謝料など約2億円を求めた損害賠償請求訴訟の控訴審判決が26日、広島高裁岡山支部であった。
松本清隆裁判長は、原告側の請求を棄却した1審・地裁判決を取り消し、病院側に約1億3000万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

母親(37)は2011年8月に破水。
女児は帝王切開で生まれたが、首にへその緒が巻き付き、仮死状態だった。
病院は蘇生を試みたものの、別の病院から来た小児科医が気管挿管を行うまで低酸素状態が続き、女児に障害が残った。

1審判決は、気管挿管の遅れについて病院側の過失を認めたが、障害との因果関係は否定し、原告の請求を棄却した。
高裁判決では、病院側は日本産科婦人科学会のガイドラインに沿った対応をしておらず、医師や助産師が母親の監視を怠ったために帝王切開の判断が遅れたとし、障害との因果関係も認めた。

判決を受け、母親は「娘に障害がなかったらどんなふうに育ったのかな、と時々考える。
病院には同じような被害者がでないよう対策をとってほしい」と話した。
鴻仁会は上告する方針といい、「コメントを控える」と述べた。

読売新聞 2018年07月28日 11時04分
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180728-OYT1T50029.html