◆米 国防予算「中国企業の通信機器 禁止」対抗姿勢鮮明に

アメリカのトランプ大統領は、今年度の国防予算の大枠を定める国防権限法案に署名し、政府機関で中国の大手通信機器メーカーの製品を使用することを禁止する条項を盛り込むなど、中国への対抗姿勢を鮮明にしています。
アメリカのトランプ大統領は13日、議会が取りまとめた、ことし10月から始まる2019会計年度の国防権限法案に署名し、法律が成立しました。

国防権限法は今後の国防政策とそれに必要とされる予算の大枠を示したもので、「アメリカ軍の再建」を掲げるトランプ大統領の意向を踏まえ、戦費を含む予算総額は、2018年度より170億ドル余り多い、およそ7170億ドル(79兆円余り)となっています。
トランプ大統領は「ひどい予算削減の時代は終わり、われわれは今、これまでにない形で軍を再建している」と述べて、みずからの成果だと強調しました。

今回の国防権限法では中国について、軍の近代化や強引な投資を通じて国際秩序を覆そうとしている、と指摘しています。
そのうえで、機密の漏えいを防ぐため、政府機関で中国の大手通信機器メーカーZTEなどの製品の使用を禁止することや、中国を念頭に海外からの投資の審査を強化する条項が盛り込まれるなど、中国への対抗姿勢を鮮明にしています。
一方、北朝鮮をめぐっては、韓国に現在2万8000人余り駐留しているアメリカ軍の兵士について、2万2000人を下回らないことを義務づけ、トランプ政権が一方的に在韓米軍の大規模な縮小を進めることを規制しています。

■中国「米は公正に対応すべき」

中国商務省の報道官は談話を発表し「法案の内容を全面的に検討し、実施のプロセスにおいて中国企業に与える影響を詳細に調査する」としています。
そのうえで「アメリカは客観的かつ公正に中国の投資者に対応し、国家の安全審査が中国とアメリカの企業の投資協力の妨げになることを避けるべきだ」として反発しています。

■台湾とは軍事関係さらに強化

今回の国防権限法には中国が軍事的圧力を強める台湾に対し、武器売却を推進する方針が明記されたほか、マティス国防長官に対し、台湾との軍事演習の拡大や病院船の台湾への寄港を検討することを求める条項が盛り込まれています。
トランプ政権はことし3月、台湾との間で閣僚などの往来を促進する法律を成立させ、先月にはアメリカ海軍の駆逐艦を台湾海峡に派遣するなど中国をけん制する動きを強めていて、台湾との軍事関係のさらなる強化を表明したことで、中国の反発が強まることが予想されます。

NHKニュース 2018年8月14日 11時08分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180814/k10011576101000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_003