https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-05/PEKAA86S972901
→「中国製造2025」で米中対立−非公式文書は野心的目標示す
→実現なら外国企業は事実上締め出し、市場断絶の恐れ

 トランプ米政権が週内にも2000億ドル(約22兆3000億円)相当の中国からの輸入品に対する追加関税の発動を決めれば、
中国との貿易摩擦の激化は避けられない。だが、摩擦の中心にあるのは中国の産業育成策「中国製造2025」を巡る対立だ。

  中国製造2025は、ロボット工学から新エネルギー車、航空宇宙に至る産業で優位に立つことを目指す中国産業政策の中核だ。
この青写真の主な要素は「中国製造2025重点領域技術ロードマップ」に記載されているが、これは非公式文書のため見落とされやすい。
表紙が緑色だったことから「グリーンブック」としても知られる。

  公式な中国製造2025には、中国企業が目指す具体的な国内外の市場シェア獲得目標が記されず、市場主導で実行する必要があるとまで書かれているが、
296ページに上るグリーンブックには驚くべき目標が詰まっている。
実現すれば、中国国内の多くの産業セグメントから外国企業を事実上締め出す内容で、世界の企業にとっては市場断絶の恐れがある。

業種            国内シェア2025(%)
農業機械             95
新エネルギー車         90
携帯通信機器          80
産業用ロボット          70

               世界シェア2025(%)
集積回路             56
汎用(はんよう)機        40

  中国は、一連の目標に拘束力はなく非公式なものだと説明。
苗圩工業情報相は4月、国営チャイナ・デーリーへの寄稿で、中国製造2025と関連政策は中国企業か外国企業かを問わず、
公平に適用されるよう取り組むと言明した。グリーンブックについて同省にファクスでコメントを求めたが、返答はなかった。

  だが、外国のロビー団体や一部の通商専門家らは、公式文書に産業目標が載ると外国政府だけでなく
世界貿易機関(WTO)の監視も強まる可能性があるため、代わりにグリーンブックを使ったとみている。

  ワシントンの米商工会議所中国センターで責任者を務めるジェレミー・ウォーターマン氏は
「中国の産業政策は指導部が指揮し、それを受けて政府部門が実行する」と指摘。
「多くの産業では一定の割合で調達が国内大手向けに確保されるとの認識がある」と語った。