埼玉県川口市立中学校に通っていた男子元生徒(15)がサッカー部員のいじめや顧問教諭の体罰で不登校になったのは学校が適切な対応を取らなかったためとして、元生徒側が川口市を相手取り、550万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、さいたま地裁で開かれた。市側は争う姿勢を示し、請求の棄却を求めた。

<川口いじめ>靴に「シネ」…生徒不登校、母が批判 卒業式欠席、記念品なし…あの組に僕はいなかったんだ
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 この問題で市教委の第三者委員会は、いじめが不登校の原因になったと認定する調査報告書をまとめている。

 口頭弁論で市側は、元生徒側の主張が「法的に整理されていない」と説明を求め、回答を待った上で「事実経過を明らかにする」としている。

■法廷で「卒業証書渡したい」…母親は怒り

 さいたま地裁で開かれた訴訟の第1回口頭弁論で、川口市の代理人を務める弁護士が突然立ち上がって発言した。「(原告の中学校の)卒業証書を持ってきたので、渡したいがどうしますか」。元生徒側の代理人の森田智博弁護士(41)が傍聴席の元生徒の母親の顔を見た。母親は黙って首を横に振った。「今日は受け取れない」という意思表示だった。

 閉廷後、母親は報道陣に「法廷で卒業証書を渡したいとは、どう考えても非常識だ。一生に一度の卒業証書を法廷でもらったら、息子はどう思うか。法廷で受け取ってきたとは言えない」と怒りをあらわにした。

 母親は「今年3月15日の中学校の卒業式に、親や先生に生徒が贈る感謝の手紙のことを知らされなかったために息子は欠席した。息子は不安な思いを抱えているので来ないでほしいと学校に伝えていたのに、その当日、校長が来て何度もチャイムを鳴らした。その時は帰ってもらった」と卒業式当日の経緯を語り、「4月3日に新任の校長が自宅に来て『卒業証書が金庫の中に保管されてあった。記念品のまんじゅうは腐って放置されていた』『(元生徒に)謝罪して卒業証書を渡すのは前任の校長の役目だと思う。教育委員会にも伝える』と言って卒業証書を持ち帰った」と打ち明けた。

 「その後、どうするかと聞いているが回答はなかった。それが今日、突然に法廷で持ち出した」と母親は怒りを抑えられない様子だった。

 この日の弁論で、市側が改めて具体的事実の説明、立証を求めたことについて、母親は「市教委が記者会見を開いて学校側の非を認め謝罪した。あの謝罪は何だったのか。また振り出しに戻る。うんざりだ。きちんと誠意ある対応をしてほしい」と話した。

9/12(水) 23:57
埼玉新聞
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