夜の政治
https://www.sankei.com/smp/premium/news/180920/prm1809200001-s1.html

 携帯電話料金引き下げに向けた総務省の議論が10月から本格化する。しかし、議論の中心となる野田聖子総務相は「料金だけでなくて議論することは他にもある」との考え。料金引き下げに執念を燃やす菅義偉(すが・よしひで)官房長官との温度差は鮮明だ。総務省内では料金引き下げのために「料金を認可制にするしかないかも…」という声も上がる。

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政治的な思惑?

 「何で料金ばかり言うんだろうねえ」。野田氏は、菅氏が8月21日の札幌市での講演を皮切りに携帯料金について指摘し続けていることに、周辺にこう漏らしているという。

 そもそも総務省は、菅氏から指摘されなくても、同23日から、携帯料金値下げを視野に入れた「携帯電話市場の競争環境」「(携帯電話基地局など)ネットワーク整備のあり方」など6課題を包括的に議論する方針だった。それが菅氏の指摘以来、料金のみに報道陣や消費者の注目が集まってしまっていることに野田氏は困惑しているというわけだ。総務省幹部も「ネットワーク整備など事業者負担を考慮せず、料金値下げという利用者還元だけを考えるのは論理的ではない」と強調している。

 一方、政界関係者や携帯事業者からは「菅氏の発言は自民党総裁選への出馬を模索していた野田氏を追い落とす意味もあったのではないか」との声も。野田氏が、携帯料金値下げという消費者受けの良い政策で何もしなかったという悪い印象を植え付けることで、総裁選から追い落としをかけた−というわけだ。携帯事業者は「政局に振り回された。もらい事故だ」と不満を漏らす。

 さまざまな思惑はあるが、10月から総務省は特別委員会を開いて料金値下げに向けた議論を進める。その前に菅氏が指摘した携帯料金に関する論点について確認しておこう。

 まず、菅氏は経済協力開発機構(OECD)各国の携帯料金に関する資料を基に「現在よりも4割以下に下げられる」と述べた。つまり、「日本は海外よりも高いのか」という点だ。

 菅氏が根拠としたOECD各国の料金を比較した資料は、内閣府が菅氏に対して提出したものだ。この資料では、日本の料金は米国やドイツなどOECD先進各国の中で最も高額だった。ただ、データ通信の利用が多い日本の携帯電話の実態と異なって音声通話を主な利用方法としたプランで比較しているなど、有識者からは、各国比較の資料として信憑(しんぴょう)性を疑う声も上がっている。

 一方、この講演の前に総務省も菅氏に各国の料金を比較した資料を提出していた。資料では東京の携帯料金は英ロンドンより約5割高いが、米ニューヨークの半額、韓国ソウルよりも安いという結果が出ていた。総務省関係者は「菅氏は内閣府の資料をあえて選択したようだ」と苦笑する。

 次に、携帯の通信・通話料金と端末代が複雑になっている原因として菅氏も指摘する「2年縛り」や「4年縛り」。総務省や公正取引委員会も問題点を指摘しており、携帯大手も、端末代と通信料金を別々にした「分離プラン」に力を入れるなど、毎月負担のシンプル化に向けて動いている。

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