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 米国政府が対中制裁関税の第3弾を発動し、中国も対抗措置を取るなど両国間の貿易摩擦が激化する中、日本メーカーにも米国向け製品の生産を中国から他国に移管する動きが広がってきた。トランプ大統領は、中国の対応次第で同国からの輸入品全てに制裁を広げる可能性にも言及。泥沼化する対立の行方に各社は神経をとがらせている。

 対中制裁は第1、第2弾が半導体や産業用ロボットなど企業向け中心だったのに対し、第3弾は家電など消費者向け製品にも拡大。富士通ゼネラルは、第3弾の対象となったエアコンの米国向け生産を、中国工場からタイに移管する検討を始めた。現在、詳細な影響を精査しているという。

 第2弾までの制裁を踏まえて移管に踏み切った企業もある。三菱電機は既に、制裁対象となった米国向け工作機械の生産を中国・大連の工場から名古屋製作所(名古屋市)に移し、逆に米国向け以外の製品を名古屋から大連に振り替えた。また東芝機械は10月から、プラスチック部品を製造する射出成形機について、米国向けの一部製品の生産を上海工場からタイと日本に移す方針だ。

 米中摩擦の事業への影響は小さいとみていた企業も、先行きを警戒している。中国工場から音響・映像機器を米国に輸出している中堅電機メーカーは、米国の制裁が中国からの輸入品全てに広がれば「主力製品にも影響が及ぶ可能性がある」と懸念、中国以外への移管準備を急ぐ構えだ。

 柿木厚司日本鉄鋼連盟会長(JFEスチール社長)は25日の記者会見で、米国の対中制裁第3弾について「非常に広範囲にわたる関税なので、サプライチェーンのなかでどういう影響が出てくるか注意深く見守っていく必要がある」と述べた。