https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181004-00000009-asahi-bus_all

 経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しに着手する。導入当初に認定を受けた太陽光発電施設のうち、いまだに発電を始めていない施設などについて、認定の取り消しや買い取り価格の減額を含め検討する。当時の買い取り価格が割高に設定され、これらの施設がすべて発電を始めれば産業界や家庭への負担が膨らむためだが、事業者からは反発も予想される。

 導入当初の2012〜14年度、事業用太陽光(発電能力10キロワット以上)の買い取り価格は、1キロワット時あたり40〜32円と、現在の買い取り価格(18円)を大きく上回る。この3年間に認定された施設のうち6割弱はすでに発電しているが、残る4割強、2352万キロワット(17年度末時点)分はまだ稼働していない。

 電力会社の送電線増強工事や地域での合意形成が遅れているケースもあるが、太陽光パネルなどの導入費が安くなるのを待つ事業者も少なくないとみられる。

 経産省の公表データを元に朝日新聞が試算すると、仮にこの未稼働分の太陽光がすべて発電を始めた場合、電力の供給量は年約350億キロワット時(設備利用率17%)増え、電力会社の買い取り額は年約1兆2千億円強膨らむ。いまの市場価格(1キロワット時あたり約10円)分を差し引くと、電気料金に上乗せされる国民負担は年約9千億円増え、標準家庭(1カ月に260キロワット時の電気を使用)で月額220円程度の負担増となる計算だ。