ZOZO前澤友作社長の民間人初となる月旅行が話題を集める中、中国の宇宙ステーションがまたもや落下の危機だ。
中国載人航天工程弁公室は、2016年9月に打ち上げられた宇宙ステーション「天宮2号」を、19年7月に「制御された状態で軌道から外し、地球に戻す」計画を立てていると発表した。

長さ10.4メートル、幅4.2メートル、重さ8,600キロというこの宇宙ステーションは、「中期宇宙滞在と燃料補給のためのシステムおよびプロセスの実験」(同弁公室)のために使用されている。
16年の打ち上げ後には、2人の宇宙飛行士が1カ月間滞在した。

しかし最近、それまでの軌道をそれて、95キロほど地球に近づいたことが観測された。
その後、元の軌道に戻ったものの、トラブルの原因はわかっていない。

同国国営メディアは同弁公室の見解として「天宮2号は2年間の任務を果たし、すべての装置は良好な状態にある」と伝えているが……。
中国には“前科”がある。

今年4月、同国初の宇宙ステーション「天宮1号」が打ち上げから5年で軌道からそれ、制御不能な状態で南太平洋上に落下したのだ。
当初は「軌道から外れても制御可能」としていたが、最終的には落下地点を事前に特定することは不可能だった。
幸運にも無人の洋上に落下したため人的被害こそ出なかったものの、毒性の強いロケット燃料であるヒドラジンが流出したとみられ、環境への悪影響も危惧されている。

そして天宮2号同様、1号が制御不能に陥った理由についても、いまだ明らかになっていない。
このところ中国は、宇宙開発に力を注いでいる。18年末までには月のダークサイド(裏側)を探索する探査機を送るとしており、20年までには中国初の火星探査用装置の打ち上げが計画されている。また、22年には天宮3号の打ち上げも決まっている。そして中国が目指すのは、30年頃までに宇宙事業で世界の首位に立つことである。

そんな拙速な中国の宇宙開発では、安全がおざなりにされているという指摘もある。
天宮2号が制御不能に陥っても、大きな被害が出なければよいのだが……。

写真:1号に続き、落下危機にある天宮2号
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