日本では、「病気にかかる」のは過去の行いが悪いという因果応報説を信じる人が多くいる。
新興宗教から印鑑商売までそれを悪用している団体がたくさんある。

例えば、がんになったといったら悪質新興宗教は「あなたの行いに悪いことがあったからだ」と本人の行動に原因を求める。
がんの原因はあくまで遺伝と外部要因と突発的要因の3つであり、そのような電波的理由は鼻で吹き飛ばす程度のデマである。
しかしいったん病に陥ってしまった人は治るためになんでもすがってしまうのが現状だ。

そして、その手法を「恋愛至上主義」ともいえるような現代社会の宿痾につけこむような「スピリチュアル」のジャンルがある。

それが、最近流行の「子宮系」というものだ。

多くの男性と交際し、なかなか幸せになれないと悩んでいる女性がしばしばすがるそうで、
悪い男とのセックスで子宮に宿った悪い霊を取り払えば幸せになるという「教義」を掲げている新しいスピリチュアルだ。

多くの男性と交際してもなかなか結婚に結びつかないと悩んでいる女性につけこみ、過去の性経験を悪とする。
信じている信者によると、「有名だから正しい」という日本人特有の判断方法で信じている人が多いようだ。

問題は、この子宮系は水子供養のような商法と同じになってしまっていることだ。根本的にはジェンダーに関連する問題と深く結びついている。
たくさんの男性と経験することを「悪」呼ばわりし、あくまで女性は貞淑でいるべきという古い時代のジェンダー感を押し付けているところが狡猾である。
それを悪と刷り込んでしまうことがいかにも男性社会の日本らしい。

いくら男性と性交をしようと、いくら奔放に遊ぼうと自分の体は自分のものである。
だからそれに何の意識もつ必要がないという先進国では当たり前のジェンダー感だ。
それを日本的な古い価値観によって破壊する悪質な旧体制よりの信仰なのだ。

◆女性の罪悪感と弱点を突いてボロ儲け

そもそも既存の現世の考え方から開放されることを目的としたスピリチュアルそのものの概念からも大きくはずれている。
スピリチュアルとは社会に対するオルナティブな存在、つまり既存の常識とは違うもの、現存する思想と相反する存在として普及してきた。
にもかかわらず、現存する社会規範を強制するのは、スピリチュアルではなく、ただの霊感商法の一種でしかない。

しかし、子宮系は女性の弱点をつきやすく、広がる速度が速かった。

それに加えてこの一派の代表的なヒーラーが引退を宣言したことも加熱の要素になった。その人気ヒーラーの鑑定料は一人30万円というから高額だ。
全国からファンが鑑定に殺到し、しまいには鑑定も個人別にすることをやめていっぺんに何千人もまとめて鑑定しますと言い始める始末。

効率アップで、売上は一億円にもなったという。ある報道によれば、この子宮系の一員が元フリーアナウンサーの小林麻耶さんの結婚相手だという。
ますます根深い問題をはらんでいるといえよう。

当然、姉の信仰している子宮派療法が、妹である小林真央さんのがんの治療として行われた可能性は決してゼロではないだろう。
もしそうだとしたら、子宮派の主催者や信者は真央さんの死についてどう考えているのだろうか。

もし、あなたの妻がこの一派にはまっていたら、夫としてどうやって説得できるだろうか。目に見えないものは証明できない。
実質的に宗教化しているスピリチュアルが危険な理由はそこである。

スピリチュアルは宗教ではないので脱会するような具体的な手段が存在しない。
辞めさせるには妻の不満を解消し、幸福感に満ちた生活を与えるしかないが、夫としてはそのほうが難しいのはいうまでもないだろう。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181027-00177375-hbolz-soci
10/27(土) 8:40配信