プラスチックごみの削減に向けた国の「プラスチック資源循環戦略」の素案を環境省がまとめた。

 2030年までに使い捨てプラスチックの排出量を25%削減し、容器包装の6割を再利用やリサイクルする。35年までにはプラごみの100%有効利用を目指すという。

 日本は、1人当たりの使い捨てプラスチック使用量が世界で2番目に多い。使い捨て大国脱却を目指し、施策の具体化を急いでもらいたい。

 深刻化するプラごみの海洋汚染を受け、6月にカナダで開かれた主要7カ国首脳会議(G7)では、プラスチックのリサイクル目標などを盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」がまとまった。ところが日本は、産業界との調整がついていないことなどから署名せず、批判を浴びた。

 今回の素案は、憲章の目標を前倒しで実現することを掲げており、その点では評価できる。

 具体策として環境省が打ち出したのが、小売店でのレジ袋配布の有料化義務づけだ。消費者への啓発につながることは間違いない。ただ、有料化が先行するスーパーなどのレジ袋辞退率は5割程度だ。大幅削減には価格設定などで工夫がいる。

 そもそも、レジ袋は国内のプラスチック需要の数%程度だ。30年までに25%削減という目標達成には、代替品の開発などで、プラスチック使用量をさらに減らす必要がある。

 政府が技術開発を後押しし、新産業の育成につなげてもらいたい。

 日本のプラごみの有効利用率は8割を超えるが、その多くを、国際的にはリサイクルとは見なされない焼却時の熱回収が占めている。

 環境省は、植物を原料としたバイオマスプラスチック製品を30年までに約200万トン導入する方針も示した。石油由来のプラ製品と異なり、焼却時に二酸化炭素排出はないものとして扱われるからだ。温暖化対策には有効だが、製品すべてを植物由来に置き換えられるわけではない。

 焼却に頼らないプラごみの処理体制への転換も、今後の課題だ。

 戦略には、日本が来年議長国となる主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、環境問題への積極姿勢をアピールする狙いもある。しかし、日本の真価が問われるのは、その後の具体的な取り組みだ。
https://mainichi.jp/articles/20181028/ddm/005/070/017000c