広島に投下された原爆の爆心地そばで被爆した女性の証言をもとに、ドイツ人の映像作家が15分の短編アニメーションを制作した。
ホロコーストの悲劇を学び育った視点で、被爆の実相に迫りつつ家族の繊細な情を描いており、24日、広島国際映画祭で公開される。

作品「OBON(お盆)」を手がけたのは、米国とドイツで活動するアンドレ・ヘアマンさん(43)。
「いつか広島をテーマに映像作品を作りたい」との思いで2012年、来日。

広島平和記念資料館で原爆の破壊力と残忍さを目の当たりにし「とても映像で表現できない」と感じたが、爆心地から260メートルで被爆した広島市の高蔵信子(あきこ)さん(93)の証言を聞き、希望を感じた。

当時19歳の高蔵さんは広島市紙屋町(現・中区)の芸備銀行(現・広島銀行)本店で、同僚と雑談しながら机を拭いていた。
外から閃光(せんこう)が差し込んで気を失い、気づくと同僚が遠くで倒れていた。
背負って外へ連れ出し、地獄の光景の中を歩いた、などと話した。

その体験はすさまじいものだったが、高蔵さんは被爆以降の家族とのつながりについても語ってくれた。
ヘアマンさんはそこから着想を得て、作品のモチーフを年一度祖先の霊を迎える「お盆」とし、今を生きる高蔵さん
あの日の出来事に亡き父親との思い出を重ねる構成にした。

ヘアマンさんは高蔵さんのほか…

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https://www.asahi.com/articles/ASLCH4D1JLCHPITB00W.html
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